雪舞い散る頃、愛は終わりを告げる望月和也(もちずき かずや)と神崎千幸(かんざき ちゆき)は、かつてX市の人々から羨望の眼差しで見られるお似合いのカップルだった。婚約も済ませ、誰もが二人の結婚は間近だと思っていた。
しかし、6年の歳月が流れ、婚約は延期に次ぐ延期。そして、千幸を待ち受けていたのは、和也が別の女性を連れて帰国するという現実に加え、その女性のために自分を傷つけ続ける和也の姿だけだった。
祖母が危篤になり、千幸は仕方なく、急いで結婚することにした。
市役所で婚姻届を提出し、外に出た時、千幸はふと思った。
結婚って、こんなに簡単なことだったんだ……相手が和也じゃない限りは。