世界が巡っても、二度と逢わない父が支援していた苦学生の津戸彰人(つど あきと)が薬を盛られた時、私・豊松純菜(とよまつ じゅんな)は自分の意思で彼に抱かれた。
ただ、十年もの間、彼を愛し続けてきたから。自分を捧げることに、一片の迷いもなかった。
けれど、彼の幼馴染である栗下美々(くりした みみ)が私たちの愛し合う瞬間を目撃してしまい、動揺して外に飛び出した直後、車に跳ねられて命を落とした。
彰人は私を抱き寄せ、「お前のせいじゃない」と優しくささやき、プロポーズしてくれた。
その言葉を信じた父は、会社のすべてを彰人に譲り渡した。
しかし彼は結婚式の前日に、わざと仕組んだ交通事故で父を死に追いやった。
私が深い悲しみに沈んでいた時、彰人は私を山奥へ連れ出した。
そして、何度も何度も車で私の体をひき潰した。美々が死の間際に味わった苦痛を、私にも味わわせるためだけに。
「お前が薬なんて盛らなければ、俺がお前を抱くことなんてなかったんだ!美々があんなことになるはずもなかった!憎い……お前も、お前の父親も、全員死んでしまえ!」
耐え難い激痛の果てに、私は彰人が薬を盛られたあの日へと戻っていた。