Masuk異世界に転生したユウヤは、ひそかに穏やかなスローライフを夢見ていました。しかし、その思惑とは裏腹に、彼に与えられたのは規格外のチート能力の数々。予期せぬ困難も、その圧倒的な力で瞬く間に解決していきます。これは、最強の力を持ちながらも、愛する者たちとささやかな幸せを追い求める、ちょっぴり騒がしくも心温まるスローライフ物語です。
Lihat lebih banyakわたしは、他の人とは少し違うみたいだった。生まれつき魔力が人より多く、その力が強すぎるせいで、気軽に魔法を使えなかったんだ。普通に魔法を使ってしまうと、みんな変な顔をして、驚きや戸惑いを浮かべながら、スーッとわたしから離れていってしまう。たまに仲良くしてくれる子もいたけれど、その間にはいつも目に見えない壁があるようで、胸の奥がチクチクと痛むのを感じていた。少し寂しかった。 だから、使う魔法はいつも低級魔法だけ。威力を最低限に抑え込み、光の粒が優しく舞うような、細心の注意を払った魔法だけ。周りの様子をよく見て観察して、みんなに合わせた魔法と威力を使うようにする。それはとても面倒で神経を使うことだったけれど、仕方がない、これが普通の子になるための努力なんだと言い聞かせていたんだ。でも、そう努力しても、もうすでに手遅れだったのかもしれない。幼い頃、周りの大人に「すごいね」「天才だ」って褒められるのが嬉しくて、自分の力を誇示するように、散々魔法を見せてしまっていたから。 大人たちも、他の子とは接し方が違った。わたしを特別扱いして、「アリアを見習って魔法の練習をしなさい!」なんて、他の子に言ったりするから、それが余計に、わたしから友達を遠ざけてしまったんだ。特別ではない、ただのアリアとして接してくれる人は誰もいなかった。 そんな時、わたしの特別な力を気にせず、ただただ一緒に遊んでくれたのが……ユウくんだった。彼はわたしに「普通」を求めてこなかった。ユウくんも、とても変わったスキルを持っているみたいで、きっと色々と苦労しているんだろうな、って、その背中から感じてた。 それに、ユウくんも魔法がかなり得意みたいで、わたしに合わせているような感じがしたんだ。少し前に、わたしがうっかり間違えて中級魔法を放っちゃったことがあったけれど、その時、ユウくんも同じ中級魔法をあっさり使っていて、わたしは心の底から驚いたんだ。それで確信した。ユウくんは普通に中級魔法を使える人なんだ、って。そして、きっと魔法の難易度を理解していないほどの、規格外のとんでもない使い手なんだろうなって。 ユウくんは、わたしを唯一甘やかしてくれて、まるで妹のように接してくれた。もちろん、ダメなことはちゃんと
♢ミーシャの過去 空は晴れ渡り雲一つなく、青空がキレイに広がり吸い込まれそうなほどだった。光の粒が降り注ぐような美しい景色は、人の心を慰める力を持っている。だが、ミーシャにはその美しい青空は見えていなかった。なぜなら……両親が魔獣に襲われ、二人とも殺されてしまったからだ。彼女の視界に入るのは、俯いているせいでただの土や石の地面だけだった。その足取りは重く、喪失感に沈んでいる。 空き地のほうで人が集まり、騒いでいるのが聞こえてきた。普段は気にすることなく通り過ぎるだけだったが、ちらりと見ると、この村に住む住民ではない者たちだった。しかもネコの獣人ではない、人間だとすぐにわかった。 話し合いがされているようで、皆で移動を始めた。その方向は……かつて自分の住んでいた、大切な自宅の方向だった。胸の奥が冷たくなり、嫌な予感が全身を駆け巡った。(まさか、わたしの自宅が? あの人間に使われるの!?) ミーシャはムスッとした表情で、通り過ぎる人間たちを睨んでいると、その中の一人と目が合った。気まずいと思うが、ミーシャには関係なかった。怒りが心の大部分を占める。なんとかしなければ……わたしの自宅が……乗っ取られてしまうかもしれない。 ミーシャはこっそりと後を付け、物陰に隠れながら様子を見ることにした。 予想は的中し、人間たちはミーシャの自宅へと案内され、皆が喜んでいた。その楽しそうな声が、ミーシャの心を深くえぐる。「むぅ……どうしよう……わたしの家がぁ……もお……誰か助けて……」 ミーシャは心の中で呟いた。声に出せば、感情が爆発してしまいそうだった。 両親が亡くなり、村のお荷物な存在となってしまってからは、友達がいなくなってしまい、誰にも相談ができなかった。村全体から食料を集め、食事を貰っているような状態だったからだ。面倒を見てくれる人はいたが、それは義務的なもので、心を通
♢シャルの真意と告白、そして新たな始まり このままスキルだか能力をかけたまま放置していると不味いな。それにしてもシャルが俺をねぇ……前に言ってたことは本気だったってことか。心に余裕がなくて、冒険者か、恋心かを優先するのか悩んで暴走しちゃったのかな?「いつものシャルに戻ってくれ。ちょっと話をするか……」 ユウヤは言葉に魔力を込め、シャルにかけた能力を解除した。「え? う、うん。分かった……なにを話してたんだっけ?」 シャルは、ぼーっと焚き火を見つめ、振り返り首を傾げて聞いてきた。パチッ、パチッ! と焚き火が爆ぜ、火の粉が夜空に舞う。オレンジ色の焚き火の炎が周囲を幻想的に照らし、シャルの横顔を美しく魅力的に見せてくる。(ん……その表情は、可愛すぎて危険だっての……勘弁してよ) ユウヤは、シャルの可愛らしい仕草に内心たじろいだ。「あー。ずっと一緒に住むって話だろ?」 ユウヤが言うと、シャルはハッとしたように言った。「あ、そうだった! ホントに勝手にするからねっ! 今更取り消しとか……ナシだからねっ」「そうだな……ずっと一緒に住むか……。シャルなら問題ないだろ」 ユウヤの言葉に、シャルは驚いた表情でグイグイとユウヤに近寄ってきた。「は? え? い、意味分かってて言ってるの?? そんな返事をしちゃって良いの? わたし勘違いしちゃうよぉ?」 ユウヤは、はぁ、と息を吐き、正直な気持ちを伝えた。「はぁ。俺も好きだったしなぁ……ずっと一緒に居たいとも思ってたし」「……ばかぁ。だったら何で離れて行っちゃったのさぁ〜ばかぁ……っ」 シャルは、ユウヤの胸を軽く叩き、涙ぐんだ。「それは、俺だけが悪いの
♢シャルの変化と告白 散歩だったはずが……いつの間にか討伐の話に変わっている。ユウヤは昼間にアリアたちを強制的に帰宅させてしまった手前、討伐に付き合うのは避けたい気持ちもあった。(別に俺が参加をしなくても良いんじゃないか? 別行動とは言わないが、討伐組と寛ぐ組に分かれて待ってるのも良いかもな)「シャルは、討伐か?」 ユウヤが尋ねると、シャルは首を振った。「もう、討伐は遠慮しておく……。あぁ、でも魔獣は欲しいかも……テイムしたいかな」「そうか、それは明日に一緒に討伐についてくるか?」 ユウヤが誘うと、シャルは満面の笑みで答えた。「うん。ユウくんが一緒なら安心だね」(おいおい……こんな性格だったか……?? 素直過ぎて気持ち悪い……違和感しか無いぞ) ユウヤは、シャルの変わりように内心で戸惑った。「アリアは?」 ユウヤがアリアに視線を向けると、アリアは少し考え込んだ様子で言った。「うぅ〜ん……ミーシャちゃん一人じゃ可愛そうだし……心配だから付いて行こうかなぁ」「悪いけど、頼むよ」 ユウヤが頼むと、アリアは柔らかな笑顔で「はぁい」と答えた。 気づけば、シャルと二人っきりになってしまった。久しぶりで、ユウヤは少し緊張を覚えた。「シャル、急に素直になって……気味が悪いぞ」 ユウヤは、単刀直入に尋ねた。 シャルは首を傾げた。「ん? そうかな? 前は、どうしても強くなって最強のパーティに入って活躍しないと! って思ってたからね。ユウくんパーティって、最強になると思って……どうしても入りたくてさぁ〜」「そうかな? そんな感じじゃないんだけどなぁ」 ユウヤは、
♢ギルドへの報告とケルベロスとの生活 ユウヤは、ギルドマスターに説明した。「討伐はしていませんが、魔石の管理は俺がしますし……盗難も考えられませんし……。ケルベロスが暴走をしても、俺が注意すれば収まるでしょうし。問題ないと思いますよ。この村へ連れてくるわけじゃないですし、ケルベロスを見たのは俺とアリアとミーシャだけですし……ダンジョン内には、あの元悪魔を名乗る獣人くらいしかいませんから」 ユウヤは、自分が死んだらケルベロスを止める者がいなくなるので、その後の
♢ギルドの喧騒と新たな関係性 しばらくすると、ギルマスの話が終わり解散が告げられ、一気に冒険者たちがなだれ込むように食堂の方と、出口の方に分かれた。ギルドホールは、一瞬にして喧騒に包まれる。 テーブルの方にルークたちのパーティが近寄ってくると、彼らはテーブルの隅にいるシャルを見つけ、たちまち不機嫌そうに睨みつけた。その表情には、まだシャルの行動に対する怒りが残っているようだ。「若様……何ですか……そいつ。なんでここに?」 ルークが、険しい表情でシャルを指差した。「あぁ……謝罪をしに来てさ。仲直りをしたんだ」 俺は、ルークの視線からシャルを庇うように、間の抜けた調子で答えた。 A
料理人が俺に気づき、目を丸くして驚いた声を上げる。どうやら、ミーシャを普通の子供だと思っていたらしい。「うん。そうだよーっ♪」 ミーシャは、運ばれてくる料理に目を輝かせながら、元気よく答えた。「そうかそうか! いっぱい食べて大きくなれよ」 料理人は満面の笑みでそう言い残し、厨房へと戻っていった。 今回もテーブルが肉料理で埋まった。豪快な盛り付けの肉塊や、串に刺さった肉がこれでもかと並べられている。食欲をそそる香りが、あたりに漂ってくる。「ミーシャ……どんだけ食べるつもりだよ」 俺は思わずため息をつく。昼食を済ませたばかりだというのに。「え……こんなに頼んでないっ。ねぇ、わた
「……助かります。ダンジョンと言っても三箇所ありますし、それがいつ、どこなのかを分からずにユウヤ殿を向かわせるわけには……連絡も取れない状態になるのは得策ではないと判断を致します」(ん〜転移で順番に見回りをすればいいんじゃないの?) ユウヤはそう思ったが、ギルマスとしての立場もあるだろうし……従うか。作戦を立てるのは、明らかにギルマスの方が歴が長いわけだし。ユウヤはギルマスの判断を尊重することにした。「はい。従います。ギルドで待機ですね」 ユ