異世界に転生をしてバリアとアイテム生成スキルで幸せに生活をしたい3

異世界に転生をしてバリアとアイテム生成スキルで幸せに生活をしたい3

last updateDernière mise à jour : 2026-02-28
Par:  みみっくEn cours
Langue: Japanese
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転生特典として、彼は防御と攻撃を兼ね備えた万能バリア、そしてあらゆるアイテムを生成し収納できる能力を手に入れる。これで安泰……かと思いきや、転生と同時に身体が若返り、中学生くらいの容姿になっていたことが判明! 戸惑いながらも、新たな能力を駆使して危険なモンスターを退け、彼は異世界での生活を満喫し始める。

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1話 剥き出しの不敬と静寂を破る罪人たちの嘲笑
 それから三日ほど、何気ない日常の平穏を存分に味わい、ゆっくりして過ごしていた。 だが、その静けさを破るように朝早くから国王の使いが呼びに来た。ユウヤはミリア、シャルロッテと顔を見合わせ、身支度を整えると、三人で再び重厚な石造りの王城へ向かった。 王城の長い廊下を歩く足音が、これからの旅の始まりを予感させるように、静かに、だがはっきりと響き渡っていた。「お呼びして申し訳ないです」 国王は、目の下に薄い隈を作り、苦渋に満ちた表情でユウヤたちを迎え入れた。その声は、以前会った時よりも微かに震えているようだった。「それは良いけど、朝早く呼ぶという事は緊急の要件ですよね?」 ユウヤは、城内の張り詰めた空気を感じ取り、真剣な眼差しで問い返した。「は、はい……平民にした貴族達の一族達が、密かに連絡を取り合っているようでして」 国王の言葉に、ユウヤは納得したように小さく息を吐いた。 そっか……前回は一族が一つだったので協力者が出なかったけど、今回は複数の貴族を一度に大量に刑を執行したから、お互いに協力して何かを企てようとしているのか。ユウヤは、暗い情念が複雑に絡み合う貴族社会の執念深さを感じ、厄介な事態になったことを察した。「今回は完全に俺のミスだな……」 ユウヤは、額に手を当てて小さく息を吐いた。一度に多くの首を撥ねれば、当然その後に残された者たちがどう動くか。複数の一族がいれば、復讐に燃える兄弟や、野心を持つ甥や姪も大勢いるはずだ。中には周囲からの人望が厚い者だっているかもしれない。 とりあえず……平民に落としたことで、皮肉にも彼らには自由な行動制限がない状態だ。このまま逃げられて潜伏され、裏で糸を引かれるのは非常に不味い。「一度、罪人たちを一箇所に集める必要がありそうですね」 ユウヤがそう決意を口にすると、横で退屈そうに指先をいじっていたシャルロッテが、不思議そうにこちらを見上げた。 この話は、ドロドロとした貴族の恩讐が絡む難しく、そして解決まで長引きそうな内容だ。ユウヤは、彼女をこの不穏な空気から遠ざけるため、優しくその肩に手を置いた。「シャル、この話は少し時間がかかりそうなんだ。悪いけど、ミリシスと一緒に居てもらってもいいかな?」「えぇっ……ユウヤ様と一緒ではないのですか?」 シャルロッテは、不満げに眉を寄せ、今にも抗議しそうな表情
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2話 皇帝の降臨と元貴族たちの戦慄
 突然、謁見の間の重厚な大扉が左右に跳ね上がるように開かれた。 外から押し寄せる尋常ではない威圧感。二十人ほどの精鋭護衛に囲まれ、堂々とした足取りでこちらへ向かってくるのは、先日、温泉で出会ったあの「おっちゃん」だった。 その姿を認めた瞬間、それまで玉座にいた国王が慌てて端に寄り、床に膝をついて深く頭を下げた。騒いでいた元貴族たちは、まるで氷水を浴びせられたかのように顔を青褪めさせ、広間は耳が痛くなるほどの静寂に包まれた。 ん? 国王より偉い人って……もしかして皇帝陛下……? ユウヤが驚きに目を見開いていると、男は周囲を圧するような鋭い眼光を元貴族たちに向けた後、ユウヤの前で足を止めた。「久しいな……冒険者よ」 その声は、温泉で聞いた時よりも一段と低く、重厚に響いた。 明らかに他の者とは違う、一国の主である国王すらも霞むほどの格段に違うオーラ。その身に纏う絶対的な支配者の風格に、周囲の者は息をすることさえ忘れ、ただ畏怖の念を抱いて立ち尽くすしかなかった。男は、かつての気さくな笑みを消し、峻烈な威厳を湛えた瞳で、まっすぐにユウヤを見つめていた。( あ……温泉の時の恐い人か……) ユウヤは、脳裏に刻まれていたあの強烈な存在感を瞬時に思い出した。しかし、あまりの驚きと、場にそぐわない再会に、思考より先に言葉が漏れてしまった。「温泉の時の、冒険者のおっちゃん?」 その言葉が広い謁見の間に響いた瞬間、周囲の空気が一気に凍りついた。 皇帝の護衛たちは、一介の兵士とは一線を画す鋭い殺気を放つ精鋭たちだ。彼らが「侮辱」と判断し、一斉に腰の剣の柄に手を掛ける。金属が擦れる冷たい音が静寂を切り裂こうとしたその時、皇帝が静かに手を上げてそれを制止した。 同時に、横にいたミリアが「むぅ~……」と、不機嫌さを隠さない表情で護衛たちを睨みつける。彼女の放つ無言の圧力に、鍛え抜かれたはずの精鋭たちが、たじろぐように視線を逸らした。 どうやらミリアには弱いようだな。助かったよ……ミリア。皇帝に向かっておっちゃんって言っちゃったし……普通なら完全に侮辱罪で斬られても文句は言えないだろうな……。ユウヤは、首筋を伝う冷や汗を意識しながら、目の前の巨躯を見上げた。「良く覚えていたな。それより、あの暗闇で話していたが良く分かったな」 皇帝は、面白そうに口角を上げ、ユウヤの無
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3話 皇帝の隣、緊張と覇気の重圧
 一方のミリアは、今の言葉の真意を計りかねているのか、不思議そうに首を小さく傾げている。その仕草一つとっても非の打ち所がないほど可愛らしいが、瞳の奥には何か納得がいかないといった様子で、不満げな色がわずかに滲んでいた。 かつて王国を統べる者が座していた重厚な玉座には、今や帝国の皇帝が泰然と腰を下ろしていた。そのすぐ隣には俺、さらにその隣にミリアという並びで座らされることになってしまった。皇帝から放たれる圧倒的な覇気を肌で感じ、俺は生きた心地がしない。この居心地の悪さから逃げ出したくて、隣に座る彼女に小声で耳打ちした。「それよりさ……席を代わってよ」 切実な願いだったが、ミリアは表情を崩さず、凛とした声で即座に却下した。「ダメですわ。次の皇帝のユウヤ様の席はお父様の隣です」 逃げ道は完全に塞がれてしまった。はぁ、と小さく溜息をつく。この人の隣にいると、心臓の音が耳元まで響くほど緊張する。まるで巨大な肉食獣の傍らに座らされているような、逃げ場のない圧迫感に喉が渇く。 そんな俺の心境など露知らず、皇帝は鋭い眼光で広間を見渡し、低く、しかしよく通る声で問いかけてきた。「それで、何を騒いでいるのだ?」 その問いに答えるように、ミリアが淀みない口調でこれまでの経緯と現在の状況を説明した。「そうかそうか……簡単な事ではないか。王国の資金を使い込み王国を破滅に追い込んだ貴族なんだろ?明らかに謀反と同等の罪だろ、全員斬首で良いだろ」 皇帝はまるで今日の献立を決めるかのような、あまりにも無造作で淡々とした口調で、大勢の命を刈り取る言葉を口にした。 その言葉が冷たい氷のように広間を駆け抜けた瞬間、並んでいた元貴族たちの顔から一斉に血の気が引いた。あまりの恐怖に誰もが言葉を失い、広間は墓場のような静寂に包まれる。皇帝がまとう、逃れようのない絶対的な威厳と、肌を刺すような峻烈な威圧感。それだけで彼らを沈黙させ、屈服させるには十分すぎるほどだった。 皇帝が再び言葉を発し、広間の全ての注目が彼に集まった、その刹那だった。  列に並んでいた数人の若者たちが、弾かれたように一斉に立ち上がった。その手には、衣服の下に隠し持っていた小ぶりなボーガンが握られている。彼らの瞳には、理性を焼き切ったような狂気と、どす黒い殺意が宿っていた。 (バカ貴族の逆恨みってヤツね……。わざと騒
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4話 社会的抹殺と終わりのない贖罪、当主と妻への制裁
「そ、そうだったな……。ユウヤ、と呼んで構わんか?」 皇帝の鋭い眼光が和らぎ、俺の反応を待つ。俺は心臓が跳ね上がるのを感じながら、緊張で強張った喉を必死に動かして言葉を絞り出した。「は、はい……あの、お父さんと呼んでも?」 恐れ多いとは思いつつも、ミリアの父親である彼との距離を少しでも縮めたくて口にした言葉だった。すると皇帝は一瞬の沈黙の後、腹の底から響くような豪快な笑い声を上げた。「構わんぞ! 私と最愛の娘の命の恩人でもあるしな……。この我を父とよんでくれるのか。この私を好きに呼ぶがよい、許すぞ。わっははは!」 その笑い声は広間の高い天井に反響し、先ほどまでの刺すような緊張感を吹き飛ばしていった。お互いに呼び方を確認し合い、どこか不思議な絆が生まれたのを感じたところで、皇帝の表情がふっと真剣なものへと変わった。彼は玉座の向こう側に控える国王へと、射貫くような視線を向ける。「――して、この王城の警備はどうなっているのだ? 武装をしている者を易々と王城へ入れるとはな」 その声には、一国の主としての冷徹な怒りが含まれていた。問い詰められた国王は、肩を落として深く頭を垂れ、消え入りそうな声で答えた。「すみません……。ユウヤ様のお陰で資金の方は改善できたのですが、兵の方がまだ集まらない状態でして……」 絞り出された謝罪には、王としての不甲斐なさと、再建途上にある国の苦しい台所事情が滲み出ていた。広間には再び、重苦しい空気が流れ始めた。 冷え切った空気の中に、斬り伏せられた若者たちの生温かい血の匂いが混じり合い、広間の重苦しさを一層引き立てていた。皇帝は床に転がる骸を無感情に見下ろし、氷のように冷徹な宣告を口にした。「そうか……まあ良い。王城に武器を持ち込み皇帝である私と皇女である娘と、国王の命を狙ったのだ、謀反の企みだろ。そこにおる、家族親類は全員斬首だ。謀反の企みを知っておっても止めることなく、手助けををした者もおるだろう」 その言葉は絶対的な決定事項として広間に響き渡り、跪く元貴族たちの肩を絶望が叩き潰す。しかし、そんな氷の支配を打ち消すように、隣に座るミリアがムッとした表情で眉を吊り上げた。彼女は玉座の肘掛けを軽く叩き、不満を隠そうともせずに声を荒らげる。「お父様。急に入ってきて仕切らないでください! 少し黙っていてください。続きはユウヤ様
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5話 家族同様の絆、皇帝が授けた「皇子」の称号
 そんな父親の様子を見て、ミリアの表情がぱっと華やいだ。彼女は誇らしげに、そして深い愛情を込めた熱い眼差しで俺を見つめてくる。その瞳は、俺が下した決断が、ただの情けではなく自分たちを守るための峻烈な意思であることを確信しているようだった。「そうか……やはり気に入ったぞ、ユウヤ」 皇帝は腹の底から響くような重厚な声で、満足げに喉を鳴らした。その鋭い眼光には、甘さの中に冷徹な合理性を潜ませた俺の裁定に対する、確かな興味と好意が宿っている。 「どうした! 何をしている! 次期皇帝が刑を言い渡したのだぞ! さっそく刑を執行せよ。どうした? 刑を執行できる兵も不足しているのか?」 広間の空気を震わせる雷鳴のような喝声に、立ち尽くしていた者たちが弾かれたように肩を震わせた。 国王は、俺の発言をただ黙って聞いていたわけではないのだろう。この場における権力の頂点である皇帝が、俺の言葉をどのように受け止め、どのような判断を下すのか。それを、固唾を呑んで見極めていただけに違いない。皇帝の言葉が絶対的な決定事項となった瞬間、国王の額にはぶわりと脂汗が浮かんだ。 「は、はっ! 直ちに、直ちに執行いたします! これなる者たちを連れて行け!」 慌てふためいた国王が、傍らの近衛兵たちに裏返った声で指示を飛ばす。重い鎧を鳴らした兵士たちが、青ざめて腰を抜かした元貴族たちを無慈悲に引き立て、広間の外へと連行していく。床を擦る靴の音と絶望に満ちた呻き声が、遠くへ消えていった。 「よし。ミリアとユウヤの顔も見れた事だし、そろそろ帰還をするか」 皇帝は満足そうに頷くと、身に纏った豪奢な外套を重厚に翻して、ゆっくりと玉座から立ち上がった。その一挙手一投足から溢れ出す圧倒的な覇気は、まるで広間の酸素を奪い去るかのような圧迫感を伴っている。 「そうですの? では、お気を付けて。お父様」 隣に座るミリアは、椅子から立ち上がると、優雅な仕草で静かに一礼した。さっきまで父親を冷たく嗜めていたとは思えないほど、その微笑みは温かく、愛娘としての慈しみに満ちている。 皇帝が大きく一歩を踏み出すと、周囲に控えていた王族や、威厳を誇っていたはずの役職者たちが、申し合わせたように一斉に起立した。 衣擦れの音だけがさざ波のように静かに響き、誰もが深く腰を折り、最高位の権力者へ畏敬の念を込めて深く深く頭を
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6話 前例など関係ない、愛する人を守るミリアの烈火
 まあ……気に入られたのかな? 皇帝の事は良く知らないけど、思ったよりミリアにベッタリじゃなくて意外だったな。でも、ミリアが「黙っていて」と言うと……知ってはいたけど、本当に皇帝が素直に従っていたのには驚いたな。あの絶対的な支配者を言葉一つで御せるのは、世界広しといえど彼女くらいのものだろう。「そうですよ。他の偉い人が刑を言い渡しても、自分が思った刑を覆すことはありませんし……。家族同様だと、皆の前でお認めになられ、お父様の口で”次期皇帝”と、おっしゃいまし……。”皇子”とも、お呼びになられましたよっ♪ しかも嬉しそうでしたわ」 ミリアは、弾むような声で、愛おしそうに語ってくれた。その瞳はキラキラとした歓喜に満ちていて、ユウヤへの深い愛が溢れ出しているようだった。 次期皇帝、それに皇子……。ユウヤは、その言葉の重みを改めて噛み締め、目眩がするような感覚に陥った。のんびり暮らしたいという望みからは、どうやら音を立てて遠ざかっているらしい。 そうか……全員斬首と言っていた刑を、当主と妻を残してと、俺の一言で刑の内容を変えちゃったんだよな。 ユウヤは、先ほどまでの皇帝の峻烈な決断を思い返し、事の重大さに改めて身震いした。自分の何気ない意見が、多くの人間の生き死にを左右してしまった事実に、胃の辺りが重くなるような感覚を覚えた。 って……次期皇帝って言われちゃったんだけど……皇帝もその気に? 皇子って……普通は血の繋がりのある実の子供の事を言うんじゃないの? 異世界だし知らないけど……。「皇子って呼ばれたんだけど……良いのかな? 俺は皇帝と血が繋がって無いけど?」 ユウヤは、困惑を隠しきれない表情で、近くに居た国王に聞いてみた。答えを求めるように覗き込んだが、国王は恐縮した様子で深く頭を下げた。「ユウヤ皇子……あまり、しっくりこないですね」 ユウヤは、額に浮かんだ冷や汗を拭いもせず、力なく呟いた。 国王の態度は、もはや「敬意」を通り越して「畏怖」に近い。先ほどまで不敬な口を叩いていた元貴族たちに至っては、顔面を蒼白に染め、小刻みに震えながら石畳に額を擦りつけている。彼らにとって、ユウヤはもはや「目障りな冒険者」ではなく、自分たちの生殺与奪を握る帝国の象徴へと変貌したのだ。「そんなことはありませんわ。とっても素敵です、ユウヤ様。ふふっ、お父様も粋なこと
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7話 冒険者の性、ギルドへの寄り道とミリアの困惑
 ミリアが頬を膨らませてそっぽを向いたので、ユウヤは宥めるように彼女に近付き、その柔らかい頬をぷにっ♡ぷにっ♡と指で突いた。指先に伝わる弾力と温もりに癒やされているうちに、騒いでいた元貴族たちは、精鋭たちによって引き立てられ、全員連れて行かれていた。「ふぅ~……気疲れした……」 ユウヤは、緊張の糸が切れたように、元々座っていた椅子にドカッと腰掛けた。すると、少し機嫌が直ったミリアが、顔を林檎のように赤らめながら、甘えるようにユウヤの膝の上に座ってきた。ユウヤは無意識のうちに、そのまま彼女の頬をぷにぷにと触り続けていた。 そんな甘い空気が流れていた時、閉まっていた大扉が勢いよく開いた。そこから二人のお姫様たちが入ってきて、厳格なはずの王の謁見の間には似つかわしくない、鈴を転がすような可愛い声が鳴り響いた。「遅いですわっ!」「お兄ちゃん、おっそ~い!」 シャルロッテとミリシスが、ミリアに負けないくらいに頬を膨らませ、露骨な不満を全身で表現しながら入ってきた。二人のあまりに自由な振る舞いに、国王は心臓が止まりそうなほど慌てふためき、声を荒らげて注意をした。「こ、これ! ここは謁見の間であるぞ! 控えなさい!」 しかし、二人の少女にとって、国王の叱責よりも「大好きな人を待たされた」ことへの不満の方が、遥かに大きかったようだ。「ちゃんと兵士の人に聞いたもんっ」 シャルロッテは、腰に手を当てて胸を張り、国王の注意をどこ吹く風と受け流した。「はい。ちゃんと確認をいたしましたわ」 ミリシスも、優雅な所作ながらも、その瞳には「お兄ちゃんを独り占めされては困る」という意志の強さが宿っている。「先程……皇帝陛下がいらしたんだぞ……まったく……」 国王は、今にも倒れそうなほど疲弊した顔で、震える指を扉の方へと向けた。その言葉を聞いた瞬間、それまで勢いのあった二人の動きがぴたりと止まった。「あらら……お姉様のお父様が……」 珍しくシャルの顔色がみるみるうちに悪くなった。いつもは物怖じしない彼女が、まるで天敵を前にした小動物のように肩を震わせている。シャルでも、あんな顔になるのか。 ユウヤは、膝の上で幸せそうに身を委ねているミリアを見下ろした。そういえばシャルもミリアとは長い付き合いなんだから、ミリアのお父さん――あの「おっちゃん」とも付き合いが長いんじゃな
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8話 強さへの渇望、大切な人を守るための飽くなき向上心
「面白い依頼ですか……?」 ミリアの澄んだ瞳が、さらに大きな疑問符を浮かべる。彼女にとって、今や「皇子」とも呼ばれる立場になったユウヤが、泥臭い冒険者の溜まり場に自ら足を運ぶ理由がすぐには理解できないようだった。「そうですわ! ユウヤ様、もし戦いが必要な依頼であれば、わたくしが……」 ミリアが守護欲に溢れた表情で身を乗り出そうとしたが、ユウヤはそれを苦笑いで制した。「大丈夫だって。ただの様子見だよ。それに、こういうところから世の中の動きが見えることもあるしね」 ユウヤは、慌ただしく立ち働く王城の兵士たちを背に、どこか懐かしい場所へ向かうような足取りでギルドへの道を歩き出した。背後からは、まだ少し納得がいかない様子のミリアと、ようやく顔色が戻ってきたシャルの「お気をつけて!」という声が微かな風に乗って聞こえてきた。「強いモンスターが現れているなら率先して戦って、もっと強くなってミリア達を護れるようにならないとね」 ユウヤは、さらりと、だが固い決意を込めてそう言った。その言葉には、大切な女性を自分の手で守り抜きたいという、真っ直ぐで力強い意志が宿っている。「え?……えっと……それ以上強くなられるおつもりなのですか?」 ミリアは、宝石のような瞳を丸くして絶句した。既に人知を超えた力を振るい、皇帝にさえ一目置かれる存在である彼が、さらに高みを目指そうとしている。その飽くなき向上心に、驚きを隠せないようだった。「え? 俺は、まだまだ弱いし戦闘経験も不足してるよ~」 ユウヤが本気で困ったように笑いながら謙遜すると、周りで聞き耳を立てていた護衛たちが、顎が外れんばかりの驚愕を顔に浮かべた。大陸最強クラスの力を持ちながら、自分を「弱い」と言い切るその無自覚な圧倒的強者感に、彼らは戦慄を覚えたのだ。「……はぁ……分かりましたわ。先に帰ってお待ちしておりますわ」 ミリアは、降参したように小さく溜息をつき、それでも嬉しそうに微笑んだ。ユウヤのその実直な優しさこそが、彼女が愛してやまない部分なのだろう。「うん。ありがと」 一方、シャルロッテはすっかりユフィリスと意気投合してしまったらしく、「今日は王城に泊まりたいですわ!」と、先ほど謁見の間で瞳を輝かせてせがんできた。ユウヤは快く許可を出していたので、彼女たちの見送りは断り、一人でギルドへと向かうことにした。
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9話 受付嬢のプロ意識、独断による特別交渉
「あっ。プレゼントした、リボン付けてくれてるんだ!? すごく似合ってるよ」 ユウヤが、彼女の髪を飾る鮮やかなリボンに気づき、素直な称賛を口にすると、彼女は弾かれたように肩を震わせた。「ひゃぃ。ありがとうございますっ……」 ニーナは裏返った声を出し、耳の付け根まで真っ赤に染めて、自身の髪飾りにそっと触れた。 ん? なんか緊張でもしている? っていうか……接客のプロで人馴れしてる受付嬢が緊張? 今のは……うん。可愛かったな。「俺に、何か用事だった?」 ユウヤが改めて尋ねると、ニーナは仕事モードに切り替えようと何度も深呼吸を繰り返し、手元の資料を広げた。「えっと……ですね。A~S級の依頼なのですが、山の上にある村があり、最近モンスターが多発していいまして……。村への流通が遮断された状態になって、孤立状態になっているんです」「それは、大変だなぁ……」 ユウヤは、険しい山道と困り果てている村人たちの光景を想像して眉を寄せた。流通が止まれば食料も届かなくなる、まさに死活問題だ。「依頼内容はモンスターの殲滅ですが、規模が分かりませんので、出来る限りの殲滅で金貨四枚ですが……五枚でいかがでしょうか?」 ニーナは、期待に胸を膨らませるように、身を乗り出して交渉を持ちかけてきた。その熱を帯びた瞳に、ユウヤは少しだけ戸惑いを感じた。「ん? 勝手に報酬を増やしちゃ不味いんじゃ?」「受付嬢は受付をするだけが仕事ではないのですよ。本来は、依頼の交渉も仕事ですので……この人は! という方に依頼をお勧めしたり、依頼とマッチしていないと判断をすれば不許可にできたりします。ですので、交渉のために報酬の多少の上乗せも許可されているのです」 ニーナは、自身の職務への誇りを漂わせながら、少しだけ得意げに説明を続けた。「普段は……上乗せをいたしませんが……必要性を感じたので、独断で判断をいたしました」「そうなんだ……今回は、良いんだ?」「はい。緊急性も高いですし……ユウヤ様の実績もありますし。お約束しましたし……」 最後の方は、消え入るような小さな声になり、ニーナは再び頬を染めて視線を泳がせた。リボンの約束を大切に思っている彼女の心が、その控えめな仕草から伝わってくる。「じゃあ……ニーナからの紹介だし、引き受けようかな」 ユウヤが力強く頷くと、ニーナの表情がパッと華や
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10話 隠密の戦慄、容易く見破られた絶対の気配
「それじゃ~行ってくるよ」 ユウヤは軽やかな足取りで椅子から立ち上がり、応接室の扉へと手をかけた。「は、はい……お気を付けて……行ってらっしゃいませ!」 背中越しに聞こえてきたニーナの声は、少し震えていたが、確かなぬくもりを伴ってユウヤを送り出してくれた。 ギルドを後にしたユウヤは、山を抜ける冷たい風の感触を肌に感じながら、目指すべき孤立した村へと一歩を踏み出した。 ギルドを後にしようと振り返ると、ニーナが扉の陰から控えめに、けれど名残惜しそうに小さく手を振っていた。その愛らしい仕草に一度だけ頷き返し、ユウヤはそのまま村へと直行することにした。 話によれば、目的地は馬車で二日は掛かる険しい場所らしい。そんなに時間を掛けてはいられない。村が孤立しているのなら、一刻を争うはずだ。 ユウヤは街の喧騒から少し離れたところで足を止め、背後に潜む微かな違和感へと意識を向けた。ずっと自分を追っている、隠密特有の張り詰めた気配。 伝言を頼むため、ユウヤは迷いなくその気配の方へと歩み寄った。すると、茂みの奥から影が飛び出し、狼狽しきった様子で姿を現した。「へ?……は? え? なぜ……分かったのですかっ?」 隠密の者は、信じられないものを見たと言わんばかりに目を見開き、数歩後ずさった。その額からは、隠しきれない冷や汗が流れている。「ん~なんとなく」「そんな……今まで一度も、誰にも気付かれることは無かったのに……」 彼は魂が抜けたような顔で、自身の腕の未熟さを嘆くように項垂れた。 そんな話はどうでもいいんだけどな。悪いけど、今の俺からすれば気配がバレバレなのだ。研ぎ澄まされた五感は、周囲の空気の僅かな揺らぎさえも逃さない。「それよりさ、二、三日帰れなくなると思うって伝えてくれるかな? ギルドの依頼でさ。詳しくは俺がここで説明をするより、ギルドに聞いてくれたほうが間違いないから。それに、伝言を伝えずに追ってきて、依頼主であるミリアを心配させちゃダメだよ。じゃあ」 ユウヤは穏やかながらも有無を言わせぬ口調でそう言い残すと、隠密の見張りが返事をする間もなく、地を蹴った。 残された見張りは、呆然とユウヤの後ろ姿を見つめることしかできなかった。伝言を伝えるべきか、ミリア様の指示通り監視を継続すべきか……。だが、隠密としての任務は既に発覚した時点で失敗している。何
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