偽婚に復讐し、御曹司と結婚する綾瀬清華(あやせ きよか)は高遠宗司(たかとお そうじ)と結婚して三年。
結婚三周年記念を計画している最中、清華は自分が持っていた婚姻届受理証明書が偽物だったことを発見した……
本物の「高遠夫人」は、なんと自分の一番の親友、白石若菜(しらいし わかな)だった!
三年間、宗司と若菜、そして高遠家全員が、自分を愚か者のように騙し続けてきたのだ。
原因は、自分が交通事故で子宮を傷つけ、子供が産めない体になったから。
だが、そもそも自分が重傷を負ったのは、宗司を助けたからなのに!
「俺は清華を愛してる。ただ、子供が欲しいだけなんだ!」
「私、二人の関係を壊したくないの。ただ、二人の仲間に加わりたいだけ!」
二人のふざけた言葉に対して、清華は言った。
「頭、イカれてるんじゃないの!」
……
彼らがそれを「面白い」と思うなら、自分もとことん彼らに付き合って「遊んで」あげることにする。
自分のプロジェクトを奪う?いいだろう。即座にエリートの名門御曹司と結婚し、プロジェクトの発注側になってみせる。
自分に結婚式を挙げさせない?エリート名門家は結納金二兆円を提示し、街中を揺るがす盛大な結婚式を挙げる。
子供を産めないから自分を軽蔑する?双子を産み、彼らが嫉妬に狂う様を笑って見届ける。
……
エリートの名門御曹司、如月司(きさらぎ つかさ)の結婚のニュースは瞬く間に広まったが、人々は揃って新妻である清華に同情した。
社交界では、司に「忘れられない初恋」がいることは有名だったからだ。
その女性はすでに人妻だが、彼は未だに彼女を想い続けていると。
噂によれば、その女性が結婚した日、彼は悲しみのあまり自殺騒ぎまで起こしたという。
さらに、彼がその女性が主演した映画を繰り返し観て、はばからず泣いていた姿も目撃されていた。
清華が子供を産み、そろそろ司とその「忘れられない初恋」のために、自らこの婚姻から退場すべきかと思っていた矢先、司は彼女を抱きしめて「冤罪だ」と叫んだ。
「誰だ、俺のデマを流したのは!清華、俺を信じてくれ!」