僕は音楽の細部にこだわるタイプで、映画音楽を聴くときには作曲家の言葉づかいに耳を澄ませる。『The Da Vinci Code』のサウンドトラックは、レオナルド・ダヴィンチという天才の謎めいた面を音で表現している代表格だ。ハンス・ジマーの手腕は、オルガンや合唱を効果的に配置して聖性と危機感を同居させ、テーマが進むにつれて徐々に高まる緊張を作り出す点にある。とくにクライマックス付近で聴くと、知的な探求心と宗教的な象徴が同時に迫ってくるような感覚になる。
読みやすさとバランスを重視する入門書として、自分がまず手に取るのはウォルター・アイザックソンの『Leonardo da Vinci』です。この本はレオナルドのノートやスケッチを軸にして、芸術と科学がどう結びついたかを物語るように描いてくれます。比喩を多用せずに人物像を描き、彼の好奇心や思考の流れを追いやすい構成になっているので、入門として非常に取りつきやすいと感じました。
映像化作品を歴史の精査という観点から斜めに眺めると、やはり「完全に史実に忠実」な伝記映画はほとんど存在しないと感じる。私が長く観てきた中で比較的史実に寄せていると評価できるのは、テレビの長編ドラマやミニシリーズだ。特に1971年に制作された『La Vita di Leonardo da Vinci』は、エピソードごとに生涯の節目を丁寧に扱い、一次史料や伝承に基づいた描写を心掛けている部分が目立つ。登場人物の年齢配分や重要な出来事の順序など、劇映画的な誇張を控えた作りになっている点が好感を持てる理由だ。