幼馴染に騙され転校した俺の逆転劇いじめられている幼馴染を守るため、俺・北条奏多(ほうじょう かなた)は一緒に転校すると約束した。
だが、彼女はハンコを押す前日になって、突然約束を破った。
彼女の友人が、面白そうに茶化した。
「やるわねえ、結衣。あんないじめられてるフリを続けてたのは、全部、奏多を追い払うためだったの?
でも、あいつとは幼馴染なんでしょ?知らない学校に一人で放り出して、平気なの?」
長瀬結衣(ながせ ゆい)の声は、驚くほど冷めていた。
「同じ市内の別の高校に移るだけじゃない。大して遠くもないわよ。
毎日毎日付きまとわれて、正直うんざりしてたの。これでやっと清々するわ」
あの日、俺は個室のドアの外でしばらく立ち尽くしていたが、結局、何も言わずに背を向けた。
ただ、提出する転校届の志望校欄を、予定していた「帝都第三高校」から、両親が以前から勧めていた海外の高校へと書き換えただけだ。
みんな忘れているようだが、俺と彼女とでは、もともと住む世界が違いすぎたのだ。