願いが落ちて、縁が尽きたこの世界に転生してきたとき、システムは朝月詩乃(あさづき しの)に一つの能力を授けた。
それは、自分以外の誰かの願いを叶える力だった。
そして、九年にわたる夫婦生活を共にした夫、一ノ瀬慎也(いちのせ しんや)の誕生日パーティーで、詩乃はこの能力で慎也の願いを叶えて、誕生日プレゼントとして贈ることにした。
詩乃は何度も心を込めて慎也に、三十歳の願いはきっと叶うから、よく考えてから願いを言うよう伝えた。
慎也は笑ってうなずき、両手を合わせて、敬虔に願いを込めた。
そのあと、システムが詩乃に慎也の願いを聞かせてきた。
「詩乃の命と、栞の命を交換できますように」
……