今さら愛だなんて、遅すぎる元カレは、私が彼の母親から大金をもらったことに怒って、A国へ行ってしまった。
10年後、彼は綺麗な婚約者を連れて帰国し、周りから見れば順風満帆そのものだった。
一方、私は末期がんだと診断されたばかり。医師からは、あと3か月の命だと告げられた。
母は診察室の前で、泣き崩れて気を失ってしまった。
それなのに、私はふと笑った。
この10年、最初の5年は藤堂恭平(とうどう きょうへい)を忘れるために、そして、残りの5年はがんと闘うために費やしてきた。
神様は、私に残されたこのわずかな時間さえも、奪ってしまうつもりなのだろうか?
私は母の手を軽く叩き、「帰ろう」と声をかけた。
それなのに、家の前であの人に会うなんて、夢にも思わなかった。