金色のひまわり明け方の4時。雪かきをしていた私は、一台のフェラーリに数メートルもはね飛ばされた。
氷のようなアスファルトに叩きつけられ、全身が軋むような激痛が走る。それでも私は自分の体を確かめるより先に、衝撃で散らばってしまった換金用の空き缶を、這いつくばって拾い集めようともがいていた。
しかし、一足の高級な革靴が私の手を容赦なく踏みつけ、拾い上げたばかりのアルミ缶ごとぐしゃりと潰した。
男は見下したように、タバコの煙をふーっと吐き出した。煙のせいで、その表情はよく見えなかった。
「当たり屋か?俺が誰だか分かってんのか?この通りは、全部俺たち望月家の土地なんだよ」
男はフンと鼻で笑い、財布から出した札束を私の頭に叩きつけた。
地面に散らばったお札のせいで、泥だらけになった私の胸の名札が見えてしまった。
「河内凪(かわうち なぎ)……」
さっきまでの気だるげな声が嘘のように、男の声が鋭く上ずった。まるで幽霊でも見たかのような、到底信じられないという響きだった。
彼は勢いよくしゃがみ込むと、私の顔をじっと見つめた。
「お前は海外で玉の輿に乗ったって、聞いてたぞ?なんでこんな所でアルミ缶拾いしてんだよ?」
私はお金に触れなかった。男の顔も見なかった。
ただ黙って、かじかんだ手をそっと引っ込めた。
やがて男の視線は、めくれた私のズボンの裾へと移った。
2本の、錆びついた鉄の義足。街灯の下で冷たい光を放つそれが、彼の目に突き刺さった。