禁欲男子と結ばれた私に幼なじみが狂う二十歳の誕生日に、両親は全国の御曹司たちの写真を私の前に並べ、縁談の相手を決めろと言った。
私は父親に、くじ引きで決めたいと告げた。
なぜなら前世の私は、少しの迷いもなく、ずっと心を寄せていた上浦市の御曹司である温井秀樹(ぬくいひでき)を選んだからだ。
だが結婚して初めて知ったのは、彼の初恋の相手は、私たちの結婚のために深く傷つき、バーで酒をあおった末に不良に辱められたことだった。
彼女は三度も自殺を図り、そして秀樹は、それがすべて私のせいだと思っていた。
彼は私の家の財産をすべてその初恋の相手に与え、私の家を丸裸にした。
挙げ句の果てに、彼は彼女がブレーキのワイヤーを切るのを黙認し、私と両親を交通事故で殺させたのだ。
したがって、この世で、私は俗世を捨てて仏に仕えることだけを望む、福見市の御曹司である遠藤秀雄(えんどうひでお)を引き当てた。
だが、婚約の宴で、私が秀雄の腕に堂々と寄り添い、姿を現したその時、秀樹は狂気に陥った。