子どもの頃の観察から言うと、いじめは単なる“悪意”の発露以上のものとして見える。表面的には被害者への攻撃に見えても、その奥には自己不全感や不安、承認欲求、集団での地位確保といった複合的な動機が横たわっていることが多い。僕が知っているケースでは、家で尊重されなかった経験を持つ人が学校で権力を行使することで一時的な安心を得ようとしていた。そうした行為は自分の価値を外部で確認する方法になってしまう。
心理学的には、投影(自分の嫌な感情を他者に押し付ける)、支配欲、差別的信念の内面化、共感の欠如、そして集団同調圧力が大きな要素だと感じる。例えば群衆の中では個人の良心が弱まりやすく、いじめがエスカレートする。ウィリアム・ゴールディングの『'Lord of the Flies'』を思い出すと、孤立した状況で権力闘争が暴力へと変わる過程がよく示されている。
個人的には、加害者側にも傷があると認めつつも、行為を正当化させない対応が必要だと考えている。罰だけでなく、感情の扱い方を学ばせる機会と、集団ダイナミクスを変える仕組みづくりが重要になる。被害の軽減と再発防止は、両面からのアプローチでしか達成できないという実感がある。