愛という名の嘘私は、宍戸心未(ししど ここみ)。画家として生きてきた。けれど、ある交通事故で視力を失った。
絶望の底にいたあの頃、ずっとそばで支えてくれたのは、幼なじみの宍戸耕平(ししど こうへい)だった。
彼は、私の人生に残されたたったひとつの光だった。
やがて私たちは結婚した。
けれど二年後、私は偶然、パソコンに残されていた録音を聞いてしまう。そこには、夫の耕平と、彼がずっと想い続けていた女――江坂香奈美(えさか かなみ)の声が残されていた。
「耕平、助けてくれてありがとう。でも……心未に黙って、彼女の角膜を私に移植したことが知られたらどうするの?目を覚ましたら、どう説明するつもり?もし警察に行かれたら?」
「気づかせるつもりはない。あいつはもう目が見えない。俺が妻にして、ずっとそばに置いておけばいい。
香奈美、お前のためなら、俺は何だってできる」
息が止まりそうになった。
私が救いだと信じていたものは、最初から最後まで、ただの嘘だったのだ。
録音をスマホに保存すると、私は病院へ連絡し、中絶手術の予約を入れた。
――もう終わりにしよう。
そうして私は、彼との別れを決めた。