「屈服」というテーマを扱った作品で思い浮かぶのは、遠藤周作の『沈黙』です。主人公のロドリゴが信仰と現実の
はざまで葛藤し、最終的に
踏み絵を踏むという形で屈服せざるを得ない過程が胸に刺さります。
キリスト教禁教下の日本を舞台に、神の沈黙と人間の弱さが対比的に描かれています。物理的な暴力よりも精神的な圧迫が次第に主人公を追い詰めていく様子は、読んでいて息苦しさを覚えるほど。最後の「踏むがよい」という神的ともとれる声は、屈服が必ずしも敗北ではないという深い問いを投げかけます。
この作品は単なる歴史小説ではなく、人間の尊厳と信仰の本質を問う哲学的要素が強いところが特徴です。読後何日も考え込んでしまうような重みのあるテーマが詰まっています。