「惚ける」という言葉は、特に古風な雰囲気や時代劇テイストの作品でよく登場しますね。例えば、山田風太郎の『忍法帖シリーズ』では、忍者たちが敵を欺くための演技としてこの言葉が使われる場面があります。忍びの術としての「惚け」は、単なるふりではなく、生死を分ける重要な戦術として描かれているのが印象的です。
また、漫画では『バガボンド』(井上雄彦)で、宮本武蔵が修行中のエピソードでわざとぼんやりしたふりをして相手の油断を誘うシーンがあります。ここでの「惚ける」は、剣の極意にも通じる深い戦略として表現されています。現代ものだと、『
孤高の人』(新田次郎・原作/坂本眞一・漫画)の登山家・加藤文太郎も、厳しい自然と対峙する際に、あえて感覚を鈍らせるような描写があります。
「惚ける」という行為は、単なる演技以上に、その登場人物の知性や
したたかさを表現するための手法として、さまざまな作品で効果的に使われています。特にサムライものや忍者もの、スポ根ものなどのジャンルで、この言葉が持つニュアンスを活かした描写が見られるでしょう。