4 Answers
日本語の『治る』と『直る』を英語に訳す際、その対象が生き物か機械かで表現が分かれる。植物の病気が治るなら'The plant has recovered'、パソコンの不調が直るなら'The issue has been resolved'と言う。この違いは英語圏の文化が自然と人工物を明確に区別する思考の表れかもしれない。
特に興味深いのは精神的な回復の表現で、'Time heals all wounds'ということわざは、時間の経過による治癒プロセスを詩的に表現している。日本語の『心の傷が治る』という表現に通じるものがある。
雨の日に傘を忘れたとき、友人が『治るよ』と声をかけてくれた。この日本語のニュアンスを英語で表現するなら、'It'll get better'が近いかな。傷や病気だけでなく、気持ちの回復にも使える汎用性が特徴だ。
一方、壊れた時計が『直った』なら、'It's fixed'か'It's repaired'が適切。物理的な修理に焦点がある表現だ。'My bike was fixed yesterday'と言えば、自転車の修理が完了したことをストレートに伝えられる。
興味深いのは、日本語の『治る』には自然治癒のニュアンスがあること。風邪が治るなら'My cold cleared up'という表現がぴったりで、医療介入よりも時間の経過を感じさせる。
英語で『治る』を表現する際、症状の種類によって使い分けるのが面白い。頭痛が治まるなら'The headache has gone away'、傷の治癒過程なら'The wound is healing'と言う。医療ドラマ'House M.D.'でよく耳にした'It will heal on its own'という台詞は、自然治癒力を信頼するニュアンスを含んでいる。
対して技術的な不具合が『直る』場合、'The system recovered automatically'のようにrecoverを使うと、自動復旧のイメージが伝わる。日本語の『直る』が持つ多様性を英語で再現するには、状況に応じて動詞を選ぶセンスが必要だ。
ケガが『治る』とゲーム機が『直る』では、英語の表現が全く異なる。骨折が治るなら'The fracture has healed'、DSの画面不具合が直るなら'The Nintendo DS is working now'だ。漫画『Dr. STONE』で科学が『直す』シーンを思い出すと、'repair'より'rebuild'の方が力強いニュアンスになる。
日常生活では、'The pain will go away soon'のような気軽な表現も便利。日本語の曖昧さを英語で表現する難しさこそ、言語学習の醍醐味と言える。