飼われ籠の鳥の心得御堂宗介(みどう そうすけ)が私をこのタワーマンションの最上階に押し込んだ時、彼はただ一言だけ言い放った。
「大人しくしていろ」
ドアを乱暴に閉めて出て行く彼の背中を見送った後、私はきびすを返してパソコンを立ち上げた。
【新作連載開始『飼われ籠の鳥の心得』】
プロの小説家として、たとえ飼われようとも、常にプロ意識を保たなければならない。
傲慢CEOの決め台詞?小説のネタにする。
セレブ一族のドロドロの人間関係?小説のネタにする。
ドラ息子たちの日常的な嫌味?小説のネタにする。
……
宗介は、大金をはたいて美しい「籠の鳥」を飼ったつもりでいる。
だが彼は知らない。自分が24時間体制で最前線に立つルポライターを雇い入れてしまったということを。