僕はまずデビュー作から入ると、創作の出発点がよく見えると思っている。1926年の『Soldiers' Pay』は作家としての試行錯誤が感じられる一冊で、続く1927年の『Mosquitoes』で文体の実験が続く。1929年には大胆な語り口で知られる『The Sound and the Fury』が登場し、同年に発表された『Sartoris』は地方社会を描く重要作だ。その流れを受けて1930年の『As I Lay Dying』では多声的な語りが完成形に近づく。
これらを年代順に追うことで、フォークナーがどのように語りの幅を広げ、テクストで遊び始めたかが実感できる。個人的には『The Sound and the Fury』で作家としての決定的な躍進を感じるので、最初に手に取るには格好の順序だと思う。最終的に読む順を決める楽しさも残しておきたい。
僕はまず1940年の『The Hamlet』を挙げたい。ここからフォークナーは村や一族を舞台にした大河的な物語を展開し始める。1942年の『Go Down, Moses』は短篇集ながらも家族史と土地の関係を巧みに編み、アフリカ系アメリカ人の視点を取り込む実験が光る。1948年発表の『Intruder in the Dust』では人種と法の問題に真正面から取り組み、後の社会的議論にも影響を与えた。1951年の『Requiem for a Nun』は前作との関係性を持ちながら、舞台劇的な構成と倫理的省察を融合させた作品だ。
俺はまず1931年の『Sanctuary』から取り上げる。これは物議を醸した内容で、フォークナーのダークな側面が前面に出ている。続いて1932年の『Light in August』では人間の孤独と贖罪が深く掘り下げられていると感じる。1935年の『Pylon』は都市と空の旅人を描く作品で、作風の幅広さを示している。1936年には大作『Absalom, Absalom!』が発表され、過去と罪のテーマを複雑な時間処理で構築している。