演出の巧妙さには驚かされることが多い。僕は場面ごとの音の扱いと視線の誘導で、視聴者の感情が巧みに動かされる瞬間に何度も心を掴まれてきた。具体的には、緊迫した局面での静寂の使い方、クローズアップの段取り、そして意図的な情報の遅延がセットになって効いてくる場面が特に強烈だ。
例えば、'コードギアス'のある山場を観たとき、画面外の音や切り替えの速さが心理的な揺さぶりを増幅していて、結果として視聴者が主人公と同じ決断の重さを感じるように仕向けられていると感じた。そこには単なる驚きよりも、倫理的な選択肢に対する自分自身の反応を見るような強制力がある。
結局、
そそのかす演出が効果的かどうかは目的次第だと思う。感情の動員や物語への没入を高めるためなら成功と言えるし、操作的で不快だと感じさせるなら失敗だ。個人的には、その境界線を巧みに行き来する作品に引き込まれることが多い。