メロディだけで風景が広がることがある。その効果は時に説明を越えて心に届くので、私はサウンドトラックを単なる伴奏とは見なしていない。'ブレードランナー'のシンセサイザーは、鮮烈な未来感と孤独を同時に伝えてくるようで、聴くたびに作品世界の空気が変わって感じられる。
具体的には、音色の選択が情緒を決める。アナログな温かみ、冷たいエフェクト、持続音の厚みや抜け方――それらが組み合わさって特有のムードを作り出す。だから私は、サウンドトラックは感情を
そそのかすだけでなく、観る者や聴く者の受け取り方そのものを形作る重要な要素だと考えている。