戦術や策略が中心の物語だと、宰相像も非常に計算高く描かれがちだ。'コードギアス'の登場人物たちは巧妙な駆け引きで国家を動かすが、組織運営における日常的な調整や書類仕事といった現実的側面はほぼ描かれないことが多い。僕の視点では、そうした省略は物語を引き締めるための必要悪であり、視聴体験としては成立している。
ただし、本当に史実と比べるなら、長期的な安定を築く政治には継続的な折衝、
妥協、法制度の整備が欠かせない。アニメの宰相はしばしば決定打となる一手を放つ“英雄的策略家”として扱われるため、現実の政治の泥臭さや時間のかかる駆け引きは過小評価されてしまう。とはいえ、ドラマとしての面白さは抜群で、戦略の美学を味わう分には最高に楽しめる。