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あるエピソードで苦労した体験をもとに、実践的なコツを共有する。ある回では英語の語呂合わせが命のシーンがあり、日本語で同じ語呂を再現できずに四苦八苦した。まずやったのは台詞の役割を確認すること――単なる笑いか、キャラの知性を示すためか、場の緊張を和らげるためか。
次に複数のアプローチを試した。語音を重視したり、意味重視で別の洒落に置き換えたり、あるいは短く説明的な言い換えで観客の理解を助けることも検討した。最終的には台詞のテンポを損なわない表現を選び、必要ならばセリフ回しを少し変えて収まりを良くした。『ソードアート・オンライン』のような作品では、用語や世界観に馴染ませる工夫も欠かせなかった。翻訳は一度で決めず、声に出して確認し、場面全体の流れで判断するのがコツだと思う。
翻訳で洒落を生かす鍵は“意味機能”と“反応”を同時に満たすことだと考えている。まずは洒落が生み出す反応(驚き、軽い冷やかし、皮肉など)をはっきりさせ、その反応を日本語でどう再現するかを優先する。
短く言えば、機械的な直訳は避けて、日本語で同じ種類の笑いを引き出す表現を探す。語彙の選択、語順、語感、そしてキャラクターの語り口を調整することで多くは解決する。時には一語で勝負する語呂合わせを無理に再現するより、少し文を足して笑いの伏線を作る方が効果的だ。『銀河英雄伝説』のような重厚な会話が多い作品では、冗談をその場の知性や皮肉として機能させるかどうかが訳の分かれ目になる。試行錯誤の回数をためていくうちに、感覚が磨かれていくと感じている。
台詞の洒落を訳すときに大切にしている視点を順に伝えておくよ。まず洒落の種類を見分けるのが肝心で、語音遊び、語義の二重性、文化的参照、あるいはキャラクターの個性から来る言い回しといった具合に分けると整理しやすい。
僕は最初にその洒落が台詞の中で果たしている役割を探る。笑いを取るためだけなのか、キャラを際立たせるためなのか、物語の伏線なのかで訳し方が変わる。たとえば『涼宮ハルヒの憂鬱』のような作品では、キャラのクセやテンポを残すことが結果的に面白さを保つケースが多い。
実際の技術としては、直訳で意味を保持してみて、それから同等の冗談性を生む別表現を探す。語感やテンポを優先して言葉を入れ替えたり、必要なら短い注を添えてフォローすることもある。最終的には視聴者が「クスッ」とする瞬間をどう作るかを最優先にしているね。
冗談の構造を分解すると訳が楽になることに何度も救われた経験がある。台詞をただ文字通りに追うのではなく、まずその洒落が何を狙っているかを見極める。音の韻を狙っているのか、意味のズレを笑わせているのか、相手の文化的知識を前提にしているのか――これが分かれば訳語の候補が見えてくる。
翻訳作業では、時に新しい語を作る創作的な選択肢を取ることもある。語感やリズムを重視して日本語で似た反応を誘える表現を探すのだ。『千と千尋の神隠し』のような微妙な言い回しでは、惜しまず複数案を出して読み比べ、読み手の反応を想像して決めていくのが自分流だ。