段ボールで試作してみたことが、僕の制作の転機だった。
最初は強度より形を優先して、頭の中のシルエットを体につけて歩けるかだけを確かめた。そこで学んだのは、
背負子は見た目だけでなく身体への当たり方が命だということ。まずは自分の肩幅や腰の位置を正確に測り、段ボールや厚紙で簡易のテンプレートを作るのが安全な出発点だった。テンプレートでバランスと重心の位置を調整してから、材料を選ぶ段階に進むと失敗が少ない。
素材は用途に合わせて選ぶ。軽さ重視ならPVCパイプや発泡ウレタン、耐久性や本物感を出したいなら薄いアルミ板やバルサ材を使う。ストラップやバックルはアウトドア用の既製品を流用すると安心だ。肩と腰で荷重を分散させる構造にして、当たる部分にはフォームやフェルトでパッドを入れるのを忘れないでほしい。試着→歩行→小走りを必ず行い、曲がる角度や振動で浮いたり擦れたりしないかを確認しておくと当日がぐっと楽になる。
最後に、参考にしたのはコスプレ仲間の工作ログやイベントで見かけた実例だ。特に'進撃の巨人'の装備を作る人たちの分解写真は、構造理解に役立った。時間をかけて小さく作っては直す、その繰り返しが結局は一番の近道だったと今でも思っている。