1 回答2025-11-13 10:22:35
サイズ直しに関して言うと、シグネットリングはデザインや素材次第でかなり融通が利くこともあれば、ほとんど手がつけられないほどデリケートなこともあります。一般的には1〜2号の範囲であれば比較的安全に調整できることが多く、リングを小さくする場合は金属を切り取って溶接する、広げる場合は金属を足して継ぎ目を作るという基本工法になります。金属を伸ばす“ストレッチ”は素材や形状に制約があり、最大で0.5〜1号程度の増加に留まるのが普通です。複雑な側面彫刻や肩の装飾があると、その見た目や強度に影響を与えるため、無理なサイズ変更は避けた方が良いですね。
素材ごとの扱いやすさにも差があります。18金・14金は比較的扱いやすく、1〜2号程度の増減は日常的に行われます。プラチナは融点や硬さの関係で作業はやや難しく、溶接痕が目立たないよう専門的な処理が必要になるため費用が上がることが多いです。シルバーは柔らかく加工自体はしやすいものの、何度も加熱すると割れやすくなるので注意が必要です。さらにシグネットの顔(トップ)にカメオやインタリオ、宝石、エナメルがある場合、加熱や研磨がそれらにダメージを与える可能性があるため、石や装飾を外して作業するか、もしくは専門の修復技術が必要になります。彫りの家紋などを残したい場合は、サイズ変更後に輪郭や彫りを再調整することも考慮に入れてください。私は古い家の遺品として受け取った彫刻入りのシグネットを直した経験があり、専門業者に頼んで彫り直しを含めて仕上げてもらったことで自然な見た目を取り戻せました。
費用は作業の難易度や素材、仕上げの要望によって幅がありますが、おおよその目安を挙げると、シルバーなら3,000〜10,000円程度、ゴールド(14K/18K)は5,000〜20,000円、プラチナは10,000〜30,000円といった範囲が一般的です。これに加えて、サイズを大きくするための金属追加や、彫刻の修復、ロジウムめっき(白金仕上げ)や仕上げ磨きが必要ならさらに5,000〜30,000円程度の追加費用がかかることが多いです。作業時間は簡単な直しなら数日、複雑な修復を伴う場合は1〜2週間以上見ておくのが無難です。中古・アンティークのシグネットは内部に亀裂や薄い箇所があることもあるので、事前に状態をよくチェックしてくれる熟練の職人さんに相談するのが安心です。サイズ直しが難しい場合は、着脱式のアジャスターやリングガードで対応する選択肢もありますし、どうしても見た目を維持したいなら同じイメージで作り直すリメイクという手もあります。経験上、信頼できるジュエラーに相談すると無理をせず最適な方法を提案してくれるので、まずは現物を見てもらうのが一番だと感じています。