デイダラとサソリの関係を描いたファンフィクションで特に興味深いのは、爆破芸術という共通の美学が二人の絆を深める一方で、その執着が歪んだ依存関係を生む点だ。'NARUTO -ナルト-'の公式設定では対立していた二人だが、創作では互いの技術への賞賛がロマンスに発展するパターンが多い。例えば、サソリが傀儡術でデイダラの爆弾を精密に制御する描写や、逆にデイダラの即興性がサソリの完璧主義を揺さぶる展開がよく見られる。爆破という
刹那的な芸術が、二人の間に「この瞬間だけは永遠に」という緊迫した愛情観を育むのがクライマックスで好まれる。
しかし、この関係性の暗部も無視できない。多くの作品では、デイダラが自爆寸前まで行く危険な行為をサソリが止める―またはあえて止めない―という心理的支配がテーマになる。爆発の熱が冷めれば残るのは空虚だという現実と、それでも引き寄せ合う矛盾が、官能的な比喩として描写される。特にAO3の英語圏ファン作品では、'ukiyo'(浮世)的な無常観とBDSM要素を組み合わせた独自解釈が目立つ。