歴史を紐解くと、スペインの『Libro de los juegos』(1283年)という書物に、初めて現在の形に近いビショップが登場する。宗教的権威を表す駒なのに、盤上では二体が異なる色のマスに固定されるのも面白い矛盾だよね。白黒のビショップが協力し合う様子は、教会内部の派閥を連想させもする。この駒の進化を見ると、チェスが単なるゲームを超えて、中世社会の鏡だったことがよくわかる。
チェスの世界でビショップが華麗に活躍する棋譜といえば、まず思い浮かぶのは1999年の『Kasparov vs. Topalov』の一戦です。このゲームではカスパロフがダブルビショップを駆使して圧倒的な空間支配を見せつけました。
特に印象的なのは中盤の25手目で、黒のビショップがd5に配置され、白のナイトとルークを同時に脅かす奇跡的な配置になりました。この一手でゲームの流れが決定的に変わったと言われています。チェス愛好者の間では『ビショップの魔力』と称されるこの局面、実際に盤面を見るとゾクゾクするような美しさがあります。