古びた詩集をめくるたび、あの一行が心に食い込んでくる。エドガー・アラン・ポーの言葉で、ファンが最も引用するのはやはり『A Dream Within a Dream』の一節だと感じている。原文の英語で「All that we see or seem is but a dream within a dream.」とある部分は、日本語訳では「われわれが見るもの、あるいは思うものは、ただ夢の中の夢にすぎない。」と訳されることが多い。私はこの一節に何度も救われたことがある。
胸の奥で響く一言がある。
その言葉はフランス語の'Attendre et espérer'、日本語ではよく「待て、希望せよ」と訳される。原典の'The Count of Monte Cristo'では、エドモンド・ダンテスが長い復讐劇を終えた後に残すモットーとして登場し、物語の最後を締めくくる象徴的な一句になっている。厳密には派手な台詞回しというより、彼が辿った道の総括として読者に突きつけられる終章のメッセージだ。
完成した復讐の余韻、そしてその先に何を選ぶのかという問いがこの短い文に凝縮されている。個人的には、復讐心と赦しのはざまで揺れる彼の心理を、この簡潔な言葉が静かに救っているように思える。私はこの締めくくり方にいつも救われ、同時に考えさせられる。