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「ボストンバッグ発見! 第1調査隊の
高校1年生の如月有人は学校の帰り道、河川敷にポツンと置かれていた黒革のボストンバッグを発見した!
彼はお宝の匂いに敏感だ。きょろきょろと辺りを見回す。犬と一緒に散歩しているお爺ちゃん。運動不足を解消するために走っているジャージ姿の青年。
彼らはまったくこちらに気付く様子もない。しめしめと思いながら、ボストンバックのチャックを開く。
「うひょぉ~♪ 俺が睨んだ通り、お宝の山だ! この湿り気具合。捨てたのは昨夜……っぽいな?」
有人はボストンバックの中身を吟味する。ざっと見た感じでは30冊はある。どれもこれもエッチな恰好をしている女性が表紙を飾っていた。
この量を一度に自分の家に運ぶのは不審者すぎる。親に悟られないように2~3冊で収めなければならない。
「べっぴん倶楽部……SMマニア……人妻ガール。よし! 今日のオカズはこれで決まりだ!」
ほくほく笑顔でボストンカバンからその3冊を取り出し、自分の学生カバンへと移動させる。残りはハイエナ小学生が持っていくことだろう。
ハイエナ小学生に刺激が強すぎるプレイ内容のものは自分が排除しなければならない!
ボストンバックのチャックを締め直して、自分は優雅に河川敷を後にした。目指すは我が家。スキップ、スキップ、ルンルンル~ン♪
自宅に着くと、中学1年生の妹と目があった。あちらは「げっ……」と嫌そうな顔をしている。家族に対して、そんな顔しなくていいだろうと思ってしまう。
妹曰く、お兄ちゃん臭い! だそうだ。妹の気持ちもわからんでもない。高校生になってからわかった。男子ってこんなに臭いんだなと。中学生の頃には感じなかった。
体育の授業の前に男子更衣室で着替えるのだが、男の自分ですら同じ男の汗や体臭をゲロが吐くレベルで臭く感じてしまう。
これが精通を迎えてしまった男のSAGAなのだろう。そして、自分は今、エロ本を学生カバンの中に入れている思春期真っ盛りの日本男児である。
精巣から精子が溢れんばかりにパンパンだ。それを中学1年生の妹は敏感に察知しているのだろう……。
(ふっ……お兄ちゃん、悲しいぜ。汚れるのはパンツだけかと思ったが、いつの間にか俺の心も汚れちまった)
階段を登り、2階にある自分の部屋へと入る。学生カバンからさっそく戦利品のエロ本を取り出す。
前菜はべっぴん倶楽部。スープにSMマニア。メインディッシュの人妻ガールでがっつりフィニッシュ。計画は完璧だった。
しかし、ここで制服のポケットに入れておいたスマホがブルッ! とひと際大きく震えた。
「なんだ? DMが届いてやがる」
スマホを手に取り、SNSアプリを立ち上げる。ダイレクトメールが自分のアカウントに届いていた。
いつもなら即ブロックしてしまうのだが、この日だけは違った。DMの内容にじっくりと目を通すことになる。
「えっと……何かの懸賞に応募してたっけ?」
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switchonP5proご当選おめでとうございます! 厳正なる審査の結果、あなたは勇者になる権利を得ました!つきましては以下のURLから当サイトへ飛んでいただき、必要事項を記入お願いします!
URL:H**P://yggdrasil_online/user_aruto/character_sheet
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なんとも詐欺メールっぽい内容だった。それでもいつもとは違い、URL部分を親指でタップした。
するとスマホの画面が切り替わり、TRPGでおなじみのキャラクターシート画面が出てきた。キャラ絵のところにはすでに自分の証明写真がセットされている。
「よくできた詐欺サイトだな。でも……こちらの住所や電話番号とか口座番号を書くような欄は無し。そして振り込み先番号も書かれていない……な?」
親指で画面を上下にスクロールさせて、そういった詐欺に繋がるものがないか確認する。
普通のお遊び用のサイトなんだと結論づけた。
ならば、日課のオナニーの前にこのお遊びに付き合ってやることにする。
職業を選ぶ項目で本日のお勧めに『エスパー』『調教師』『墓守』が表示されていた。
「……なんかうさんくさいな。でもエスパーか……すけべイベントを拝めるとしたら、この3つの中で一番、俺に似合っているかも?」
とりあえず職業をエスパーに設定してみた。そうするとスキル欄に透視、透明化、時間停止の3つの能力が追記された。
「くっそ! 俺のことをよくわかってんじゃねえか! いや、男なら誰しもがこの3つの能力を欲しがるに決まってんだろ!」
すけべイベントに必須のスキルが3つも並ぶ。とりあえず、そのまま『エスパー』を選んでおく。
しかし、ここでひとつ問題が起きた。職業エスパーの問題点は基礎能力が平均値よりも低い。
職業欄のタブで他の職業も選んでみた。ざっと見た感じ、各ステータスの平均値は8だ。エスパーだけはそれが4も低い。
ステータスは腕力・耐久力・器用さ・知力・魅力の5項目で、そこにボーナスポイントを振り分けることになる。
エスパーで行くことは決定済みだ。ならば、生死に直接関わっているであろう耐久力にボーナスポイントを全部割り当てた。
その他に2つの項目があった。精神抵抗とお笑い抵抗。こちらは画面上の20面ダイスを振ることで決定される。
20面ダイスが表示されている小窓を親指でフリックした。こちらの指の動きに合わせて、ダイスが転がっているのが表示された。
そのダイスの動きを親指で止める。それを2回行う。どちらも1・1のファンブルを叩き出し、マイナス100となった。
「え……こんなことってある!?」
ファンブルかましたことはこの際、一旦、置いておく。
キャラクターシートの下に特記事項があり、そこには30文字以内で自由に何かを書き込むことが出来た。
ここで一旦、視線をスマホから部屋の窓へと移動させる。ニヤリと口の端が自然と歪んだ。どうせ、これはお遊びだ。それに合わせて、遊び心を発揮しなければならない。
「世界の王となる男。ただし王の力は孤独を呼ぶ……と。どうだ、これで!?」
↓如月有人の現在のステータスはこちらとなる↓ -------------------- 名前 :アルト・キサラギ モデル:ヒューマン Lv :3 腕力 :4 耐久力:4(+6) 器用さ:4 知力 :4 魅力 :4スキル:エスパー能力Lv1
透視Lv1 透明化Lv1 時間停止Lv1 耐性系:斬×、突△、打△、熱〇、冷〇、雷×、サイキック◎ 精神耐性 :-100 お笑い耐性:ー100特記事項:世界の王となる男。ただし王の力は孤独を呼ぶ
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最後が厨二病くさいがこういうのも悪くない。あとは送信ボタンを押すだけだ。この内容で問題ありませんか? とサイト側から問われたが、問題無しと応答しておく。その後、ベッドの上にスマホを放り投げる。こちらは忙しい身なのだ。夕飯前にオナニーを手早く済ませなければならないのだ。
べっぴん倶楽部、SMマニア、人妻ガールの欲張り3セットでがっつりフィニッシュしなければならない。
ベッドの頭の方に置かれた目覚まし時計は17時ちょうどを指している。一刻の猶予もない。制服のジャケットを脱いで、椅子の背もたれに引っ掛ける。
ズボンとパンツをスッと手慣れた感じで脱ぎ捨てる。わっふる! わっふる! と心を浮き立てさせながら、さっそくべっぴん倶楽部のページを開く。
(見せられないよ!)のページを次々とめくる。おっ! と思ったページで手を止める。そして、いひぃん! あっはーん! と気持ちの良い声を上げる。
これを3度繰り返し、本日のオカズ消費はクリアとなった……。
「気持ち……良すぎだろっ! ふぁ~~~。眠い……パンツを履くのも面倒だ……」
有人はそのままシーツにくるまり、深い眠りにつく。
そして、ジリリリ……という目覚まし時計の音に近しい音が耳に届く。有人はだんだんと覚醒する。
「ふぁ~~~。よく寝た。夢の中でも人妻ガールズに囲まれちまったぜ……って、ここどこ!?」
目を覚ましたばかりだというのに、有人は目を白黒させた。そこは自分の部屋ではなかった……。どこかの教会内にある荘厳なホールを思わせる造りをしていた。
そこに男女十数名が集まっていた。誰もが中世ヨーロッパの貴族のような服装をしている。
彼らがひそひそと耳打ちしあっている。
禍々しいオーラを放つ邪龍の神殿の前に立つ。ボリボリと頭を掻いた。そうしていると、ポンとお尻をゲイルに叩かれた。「どうぞお先に。見えるのでしょう? 聖騎士シャインまでのルートが」 「頼りにされて涙が零れそうだぜ。ああ、しっかりと見てやるさ!」 透視能力を発動する。禍々しいオーラの中から清浄なオーラを見つけた。か細い糸のようなオーラであったが、この糸の先に聖騎士シャインがいるのだろうと予想できた。 ゲイルに向かってこくりと頷く。ゲイルがうんうんと頷き返してきた。二人揃って慎重に神殿内に足を踏み入れた。 その瞬間であった。とんでもなく臭い匂いが鼻をおおいに刺激してきた。吐き気を催した。酸っぱい胃液が食道をせせり上がってくる。「おえええ……なんちゅう匂いだ」 「死臭ですな。それもとんでもない量の」 「この中を歩けってかー?」 「行くしかないですなぁ」 「行くしかないのかぁ……」 ちらりと後ろを振り向く。リリーと聖女が「がんばれがんばれ」と応援してくれていた。そのこと自体は嬉しいのだが、それでも足がすくんでしまう。それほどの悪臭が鼻を襲ってきていた。 鼻に手を当てながら、恐る恐る神殿内に入る。さしものゲイルも自分と同じポーズだった。歴戦の戦士であるゲイルでも堪える匂いなのだろう。 神殿内に入り込んで10メートルもしないところで足が止まってしまった。激臭で目までもが痛くなってきたからだ。視界が歪む。そんな時、ゲイルがこちらの身体を支えてくれた。「トゥンク……じゃねえよ!」 「がーははっ。ワシに惚れるなよ?」 「男前すぎて、胸が高鳴っちまったよ」 「それだけ元気があれば、まだまだ大丈夫ですなっ」 ヤレヤレ……と肩をすくめるしかない。激臭すぎて、嗅覚が麻痺してきた。おかげで手で鼻を抑えなくてよくなった。 目がシパシパするが、直に慣れるだろうということで、ゲイルと一緒に先に進む。突き当りを右に曲がる。先ほどから見えている清浄なる糸のようなオーラがこの先に続いていたからだ。 右に曲がった後に階段があった。そこを
転送した先で目に飛び込んできたのはおどろおどろしい神殿であった。紫色のオーラを放っていやがった。その紫色のオーラがこちらに近づいてきた。思わず後ずさる。「これ、触れていいやつなのか?」 こんな異様な雰囲気を放つ神殿の前に立つ笑顔の女神に問いかけた。女神はさらに笑みを強くして、こちらに手を差し伸べてきやがった。「ようこそ、アルト。邪龍の神殿へ」 「俺、何の準備もしてないよ!?」 「大丈夫。今回は囚われの聖騎士シャインの救出にやってきただけだから。今のアルトに戦えなんて、そんな自殺行為、お勧めできないわ」 「その言葉、信じていいのか判断しかねるなぁ」 差し伸べられた手に手を合わせた。すると、イメージが脳内に再生された。聖騎士シャインが囚われている姿が見えた。 聖騎士シャインが着ている鎧のあちこちが破損している。さらに逃げられないようにと植物の蔓のようなもので拘束されている。「この映像は!?」 「聖騎士シャインはまだ生きているっていう証拠をあなたに見せてあげたのよ」 「場所はわからないんですか!?」 「神殿の生贄の間だと思うわ。そこにシャインがいるはずよ」 「そこまでわかっているのならば、なんで女神様が助けにいかないんだ!?」 「……そこは男の子が頑張るところじゃないの?」 「……そうなりますよね」 場所までわかっているなら、女神パワーでどうにかしてほしかった。だが、現実は甘くなかった。女神はそうしない。女性を助けるのは男性の役目だとして、こちらに仕事を押し付けてきやがった。「ちなみにやろうと思えば、やれるんですよね?」 「できるわよ。でも、私の力に呼応して、邪龍が目を覚ますわよ」 「ああ、なーるほど? 脆弱な力しかもってない俺なら、刺激しなくて済むってわけですね?」 「そういうこと。理解が早くて助かるわ~~~♪」 「とほほ……」 女神が「行ってらっしゃい」と手をひらひらさせている。うなだれるしかなかった。リリーがこちらに声をかけてくれた。「がんばってください、アルトさ
自分たちの目の前に黄金色の扉が出現した。その扉は自然と開く。だが、その向こう側からは誰も現れない。 肩透かしを食らってしまった。ゲイルが恐れ知らずなのか、扉の向こう側を確認しに行く。その時だった。ゲイルの姿が忽然と消えたのだ。「!? 今、何が起きたんだ」 「はわわ。ゲイルさんが消えちゃったのですぅ!」 「リリー、ここは下がっていろ! なんか嫌な予感がする」 リリーをすぐさま下がらせる。そして、代わりに自分が前に出る。何故、ゲイルが消えてしまったのかの原因を探ろうとした。だが、その前に口うるさい第3王子がしゃしゃり出てきやがった。「お前の仲間はこの場から逃げたのでしゅ!」 「うるせー! 俺たちのゲイルがそんなことするわけねえだろっ!」 本当に口が減らない第3王子であった。しかしながら、ピーンと来るものがあった。この黄金の扉の前に立っていたゲイルが消えた。 これは転送装置の可能性がある。繩で簀巻き状態にしている第3王子を黄金の扉の前に転がしてやった。「な、何をするでしゅ!? 吾輩は消えたくないでしゅよ!」 「ははーん。お前も気づいているんだな?」 「いやーーー! どこかに飛ばされるでしゅーーー!」 第3王子は叫び声をあげた。だが、その声は途中でいきなりぶった切られることになった。予想通り、第3王子もどこかへと消えてしまった。「というわけだ。これは女神様からの助け舟みたいだ。俺たちも転送しよう」 「……どこに飛ばされるかもわからないってのに?」 「ヴィオさん。ここには聖騎士シャインがいないんだ。長居は無用だろ?」 「それはそうだけど」 「ほら、行こうぜ」 聖女ヴィオレッタに手を差し伸べる。そうだというのにまだ逡巡している聖女だった。そんな彼女の肩に手をポンと置いた大魔導士ミカが「お先に」と言って、黄金の扉の前に立つ。 すると、今度は大魔導士の姿が消えた。次に動いたのはリリーだった。「アルトさん。ヴィオさんをお願いします。でも、浮気は許しませんからね?」 「そ、そんなつもりでヴィ
第3王子は繩でぐるぐる巻きにされて、まるでミノムシのようになっていた。だが、その状態でもやかましい。いっそ、腹に蹴りでも入れて、無理矢理黙らせてやろうかとさえ思えてくる。 だが、それを静止してきたのは大魔導士ミカであった。「人質に手をあげるのはご法度でございまする」 「そんなルールでもあるわけか? この世界には」 「はい、ありまする。人質や捕虜の扱い、あとはその交換に関する国際ルールが制定されておりますのじゃ」 「中世ナーロッパのくせに……」 どうにももやもやとしてしまう。ミノムシ状態にしなければよかったとすら思えてくる。完全に拘束してしまったことが裏目に出てしまった。「吾輩をどうする気でしゅか! このまま親父との交渉に使うでしゅか!」 「ああ、全くその通りだよ!」 「くーくくっ。浅知恵にもほどがあるのでしゅ」 「どういう意味だ?」 「まずひとつ。吾輩を背負ったまま、無事に国王である親父のとこにまで到達できないのでしゅ」 「やってみなきゃわからんだろ」 「さらにもうひとつ。この城にお前たちが探している聖騎士はいないのでしゅ」 「なん……だと!?」 聖騎士シャインはこの城に囚われているままだと思い込んでいた。しかし、実際は違った。急いで、聖騎士シャインをどこに移送したのかを第3王子に詰問した。「クククッ。邪龍が住まう神殿でしゅ。聖女が生贄になるのを拒んだから、今年は代わりに聖騎士シャインを生贄にすることにしたのでしゅ」 「どういうことだってばよ!?」 「おや? そこの聖女様から聞いてないのでしゅか?」 恐る恐る聖女ヴィオレッタの方へと視線を向けた。聖女は「あはは……」と苦笑していた。怒りが湧いてきた。「おい、ヴィオさん。あんたは俺に本当のことを隠していやがったのか!」 「隠してたわけじゃないわよ。話す機会がなかっただけ」 「くっ! 俺がそんなに信用できないってのか!」 「そうじゃないわ。これ以上、私のことで巻き込みたくなかっただけよ」 「どういう
だが、本当の地獄はここからだった。牢屋を抜けだしたはいいが、城のそこら中に警備兵が巡回していた。 彼らに見つかれば、また牢屋に戻される。ここで光ったのが自分の透視能力だった。城のどこに警備兵がいるのか壁越しでわかる。 皆の先頭を自分が率先して歩く。網目のように張りめぐらされた警戒網をゆっくりと進んでいく。 皆が緊張感に包まれていた。そして、緊張感がMaxに届いた時、事件が起きた。誰かがプゥ~~~とオナラをしたのである。「なんだ今の音!?」 警備兵たちが一斉にこちらへと振り向いてきた。急いでリリーを抱き寄せる。次の瞬間には透明化を行い、自分とリリーの姿を相手から見えなくさせた。「おっとぉ? お客さんたち。どこへ行く気かな?」 警備兵たちから見えるのはゲイルとヴィオレッタ、そしてミカの3人だ。自分とリリーは透明化で姿を消している。 こちらの3人に向かって、警備兵がゆっくりと近づいてくる。自分はリリーの口に手を当てて、声を出させないようにした。 そのままの体勢でゆっくりと、警備兵の後ろへ回る。素早く彼の右腕を絞り上げ、その手から武器を取り上げた。「なんだ!?」 警備兵が素っ頓狂な声をあげた。手に持っていた武器をリリーに投げ渡す。その後、警備兵の足をひっかけて、彼を転ばせた。 それを合図にゲイルが警備兵の頭頂部にチョップを喰らわせた。警備兵は「ぐぇええ」とカエルのような声をあげて、失神してしまう。 警備兵の残りは二人だ。こちらの動きが流れるように鮮やかだったためか、呆けた顔をしていやがった。 その隙を見逃さない。急いで時間停止を行い、警備兵から武器を取り上げる。それをまたしてもリリーに投げ渡しておく。「これはみね打ちよ」「ひでぶっ!」「あべしっ!」 聖女ヴィオレッタと大魔導士ミカが素早く動き、警備兵たちの股間を目掛けて膝を入れている。倒れた警備兵たちが口から泡を吹いていた。ゾゾ……と背筋に冷たい汗が流れ落ちてくる。「お前ら、どこがみね打ちなんだよっ
自分たちは襲撃に会いながらも、どうにか城門にまでやってくる。城門を守る衛兵がこちらに槍の穂先を向けてきた。「何の用でこの城にやってきた」 どこまでも冷たい声だった。こちらを邪魔者としか感じていない。そんな雰囲気を発していやがった。 ムカッとしたのでその怒りをそのまま声に乗せそうになった。だが、口から言葉が飛び出す前にリリーがこちらの手を引っ張ってきた。「ダメですぅ。喧嘩を売りにきましたけど、買いにきたわけじゃないのですぅ」 「ハハッ。リリーは上手いことを言いやがる。そうだった。俺たちはカチコミにやってきたんだったな」 さすがはリリーである。こちらの手綱をしっかりと握ってくれている。心が軽くなった。衛兵とのやり取りをトラブルメーカーの聖女ヴィオレッタに任せることにした。「この城のどこかに私の従者が囚われているってのは知っているの。白状しなさいっ」 「おいっ。何をおかしなことを言ってやがる。そもそも、お前は誰なんだ」 「私? 私は聖女ヴィオレッタ様よっ!」 「そんな……バカな!?」 衛兵がおおいに戸惑っている。彼はただの衛兵だ。情報を処理しきれなくなっていた。こちらはニヤニヤと悪い顔になっていた。 衛兵の事情など、お構いなしにずけずけと用件を伝えてこいと命じる聖女であった。衛兵は「グヌヌ……」と唸っている。 衛兵は門を守る仕事を忠実にこなすか、それとも伝令役になるかの二択を迫られていた。しばらく聖女とやりとりをしていたかと思えば、急にあちらが折れることになった。「わかったわかった。上に伝えてくる。だが……その結果がどうなろうが俺の知ったことじゃない」 「気にしなくてもいいわ。モブはさっさと引っ込んでね。話が進まないもの」 「ぐぬー――! 言わせておけばっ!」 さすがはトラブルメーカーの聖女である。ついに堪忍袋の緒が切れたのか、衛兵は聖女に向かって槍の穂先を突き付けてきた。 だが、その槍の中ほどを手で掴んで止めた男が出てきた。その男はもちろん、頼もしい我らがゲイルである。「淑女に失礼だぞ。
赤、ピンク、紫といったいかがわしいネオンが眩しいデカすぎる建物の前に自分は立っていた。さらにこの建物がカジノであることがこれまたデカすぎる看板で示されていた。 正直、怖気付いてしまいそうになる。女神に自分はダメンズではないことを証明しようとして、ひとりでカジノの前までやってきた。「当
この世界で一番手っ取り早く稼げる方法。それはどこの世界でも変わらないようだった。女神が妖艶な笑みを浮かべる。「カジノで荒稼ぎするのよ」 「犯罪じゃないですよね!?」 「バレなければね」 「女神ぃぃぃっ!?」 バレなければ犯罪じゃない。なんとも甘美な言葉だった。またしても女神はこちらを堕落させようとしてくる。(この女神様。ダメンズ製造機なのでは?) 目の前で踏ん反り返っている女神に対して、こちらはおどおどと情けない姿を晒してしまっている。 確かに金を稼ぐ方法を聞いたのは自分だ。今
とりあえず合わせて2万ゴリアテを手に入れた。女神が言うには日本円に換算して20万円だそうだ。身分がしがない高校生である自分にとっては大金に感じてしまう。「俺……20万円もリボ払いで返すって、人生詰んだんじゃないですかぁ!?」「安心して? たったの20万円だからっ。月々5000円+手数料で約40回払い。スマホ本体を48回払いするよりも簡単に返せちゃう!」「ははっ……俺、腹が減って思考能力が落ちてるせいか、20万円を天文学的数字に思っちまった。てか、スマホの48回払いって今更にとんでもないな!?」 スマホの話はさておき、女神から手に入れたお金で何か食べたい。こちらの気持ちを汲んでくれた
「さてと……そろそろ真面目な話をするわよ?」 女神がピシャリと場を整えてくれた。その身から威厳と神々しい光を溢れさせる。いよいよかと思われる瞬間がやってきた。 周りにいる貴族たちが姿勢を正す。聖女パーティの3人も女神に向かってひざまずく。自分はどうしたものかと考えていると、女神がこちらの両肩に両手を乗せてきた。「勇者アルト・キサラギが聖女の旅を助けてくれます。彼はハズレ職業のエスパーですが、それでもきっとたぶん聖女のためにその命を捧げてくれるでしょう!」 「……えっと、女神様」 「はい? なんでしょうか、勇者アルト・キサラギ」 「キャラクターシートでエスパーをお勧めしてくれてまし







