胸の奥で何かが囁く感覚、その英訳には微妙な差が出る。呼んでいるという現在進行形の力と、胸のどこか奥でという漠然とした位置感覚が両立していて、直訳だけでは色合いが変わることが多いと感じる。
個人的には『呼んでいる 胸のどこか奥で』を英語にするとき、二つのポイントを意識している。ひとつは"胸"をどうするか――英語だと"chest"と"heart"でだいぶ印象が違う。感情的・詩的な文脈なら"heart"の方がしっくりくることが多い。一方で、身体感覚や具体的な不安、胸の奥の圧迫感を伝えたいなら"chest"の方が生々しい。もうひとつは"呼んでいる"の継続性で、"is calling"とするか"calls"(現在形の叙述)にするかでニュアンスが変わる。歌詞や台詞なら"is calling"のほうが臨場感を残しやすい。
最終的な英訳例としては、文脈次第で使い分けるのが賢明だと思う。情緒重視なら"Something calls from deep within my heart."、やや身体的な引力を示したいなら"Something is calling from somewhere deep in my chest."という具合。個人的には『君の名は。』のような青春的な切なさがある場面では"heart"を選びやすい。どちらを選んでも原作の意味は伝えられるが、雰囲気をどう残したいかで最終形が決まると考えている。