シド・バレットの突然の引退には、複数の要素が絡み合っているように感じる。1967年から1968年にかけてのピンク・フロイドでの活動は、彼の創造性の頂点だったが、同時に精神的な負担も大きかった。
LSDの頻繁な使用が彼の認知能力に影響を与えたという説は根強い。『The Piper at the Gates of Dawn』の制作過程で既にその兆候は見え始め、ライブではギターを抱えたまま動かなくなることもあった。音楽仲間との人間関係の悪化も無視できない。バレットの不可解な行動に周囲が困惑する中、最終的に彼はグループから事実上排除される形になった。
しかし、単純に「薬物が原因」と片付けるのは浅はかだ。彼の繊細な芸術家気質が、商業的な成功への圧力に耐えられなかった面もある。引退後も自宅で絵画を続けたように、表現手段を変えただけかもしれない。