マルローの『人間の条件』と三島由紀夫の『金閣寺』を並べて読むと、どちらも人間の内面の葛藤を描きながら、全く異なる美意識が浮かび上がってくる。
フランス文学の重厚な哲学性に対して、三島の作品には繊細な美学が宿っている。マルローが政治や歴史の渦中で人間性を問うのに対し、日本の作家は個人の心理の微細な揺れを切り取る傾向がある。
特に興味深いのは、『希望』の描き方の違いだ。マルローの登場人物は行動を通して希望を作り出すが、三島の主人公たちは往々にして自己破壊へと向かう。この対照から、文化が文学に与える影響の深さを感じずにはいられない。