造形の輪郭を決める瞬間にまず注目してほしいのは、全体のシルエットと顔の造形だ。
リュークは身長や手足の長さ、肩のラインで一目でわかる異形の存在感を放っているから、これを崩さないことが最優先になる。縦長のプロポーションを維持するために、肩パッドや脚の延長、手の指の長さを計画的に作り込むと、遠目でもキャラが伝わる。
表情と目元は二番目に大切だと考えている。私はフェイスプロテーゼやシリコン、歯の造形に時間をかけて、あの冷たい笑みと大きな目の印象を再現するようにしている。塗装は単なる色塗りではなく影色で奥行きを出すことがコツで、マットと微光沢を使い分けると生物感が出る。
最後に動きやすさも忘れないでほしい。リアルさを追求するあまり動けなくなると表現の幅が狭まる。私はイベントで長時間着ることを想定して、内部の軽量化や通気、関節の可動を確保している。結果的に見た目と実用性のバランスが取れて、見た目以上に“らしさ”を出せると思う。参考にするときは、原作の表現を尊重しつつ自分の技術で噛み砕くことを勧める。