原作のコマを追うと、
リュークのリンゴ好きを単なるギャグ以上に描いているのがよくわかる。最初に登場した場面で彼は人間界のリンゴを好み、見せびらかすように食べる。僕はその描写を“習慣”と“依存”の合わせ技として受け取った。彼がリンゴを欲しがるのは、シニカルな興味と退屈しのぎの両方を満たす行為だからだ。
第1章のやり取りでは、リュークがリンゴを報酬代わりに要求する場面があり、そこに彼の動機の単純さが表れている。人間の美味しさに驚き、何度もねだったり怒ったりする感情の振れ幅が、死神という冷たい存在に人間らしい愛嬌を与えているのが印象的だ。
結局、原作ではリンゴはリュークのキャラクター作りに使われており、力や規則と関係する深い意味よりも、観察眼やユーモアを際立たせる小道具として効果的に使われていると僕は思う。