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地質学的に見ると、
三本槍岳は火山活動で形成された安山岩の割れ目が浸食されて現在の形になりました。専門家によれば、この『三つに分かれた岩峰』という地形は国内でも珍しいとのこと。山岳信仰の対象としても知られ、修験道の文献には『三つの矛(ほこ)が天を指す聖地』と記録されています。
山頂から見下ろすと、三つの峰が槍のように鋭く突き立っている姿が特徴的で、それが名前の由来になったといわれています。地元の古老の話では、昔から『三本の槍』と呼び習わされてきたそうです。
実際に登ってみると分かりますが、東側から見たシルエットはまさに戦国時代の槍を立てたような威容。登山ガイドブックにも『日本百名山の中でも特に印象的な山容』と評されるほど。雪解けの時期は、槍の穂先に雪が残る様子が見事です。
面白いことに、山の名前は時代によって少しずつ変化してきました。江戸時代の古地図では『三本鑓山』、明治期の公文書では『三槍ヶ岳』と表記。現在の名称が定着したのは大正時代後期で、登山家の間で広まった俗称が公式名称になりました。山頂の展望台には、各時代の呼称が記された解説板が設置されています。
地元の伝承ではこんな話が残っています。昔、この地を治めた領主が三兄弟で、山の頂上で決闘した末に三人とも槍で刺し合い、そのまま石になったというもの。実際に中腹には『兄弟岩』と呼ばれる巨石があり、領主の家紋が刻まれているとか。山岳博物館にはこの伝説を描いた江戸時代の絵巻が展示されています。