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『今昔物語集』には不浄観念が色濃く反映された説話が多く収録されています。特に病気や死に関わるエピソードでは、当時の人々が穢れをどう捉えていたかがよくわかりますね。
平安貴族の日常生活を描いた『源氏物語』にも、産穢や死穢に関する記述が散見されます。紫式部が登場人物の行動制約として描き出した部分から、現代とは異なる感覚が伝わってきます。神社のしきたりを学ぶなら、『延喜式』などの律令書が参考になるでしょう。
江戸時代の川柳や浮世絵には、市井の人々の穢れに対するユーモアあるまなざしが見て取れます。例えば、産屋の描写には厳しい禁忌の裏で、庶民がどう折り合いをつけていたかが現れている。化政期の黄表紙『江戸生艶気樺焼』なんかも、穢れ観念の変遷を感じさせる一冊です。
絵巻物の『病草紙』は、当時の人々が恐れた様々な病気をビジュアル化したもの。皮膚病や奇病がどう不浄と結びつけられていたか、絵の細部から読み取れます。寺社縁起絵にもよく登場する穢れ払いの儀式は、現代の我々には想像もつかないほど厳格でした。
能楽の演目『葵上』は、生霊という形で不浄が劇的に表現されています。観阿弥や世阿弥の作品には、穢れと浄化をテーマにしたものが少なくないです。昔の農村の慣習を知りたければ、柳田國男の『遠野物語』が面白い。日常の中に潜むタブーの数々が、不思議なリアリティを持って語られています。
民俗学者の折口信夫が分析した祭礼儀礼の記録には、地域ごとの穢れ処理方法が詳細に記されています。例えば『古代研究』の中の海人族に関する記述は、漁業に携わる人々の独特な清浄概念がわかる貴重な資料です。
仏教側からのアプローチなら、『往生要集』での地獄描写が不浄観と深く結びついています。源信が説く末法思想の背景には、この世の穢れに対する強い意識が感じられますね。