愛より金。母を殺した夫と息子、一生許さない年の瀬が迫ると、都心のセレブ妻の間では、福の神にお参りするくらいなら、私、松浦莉子(まつうら りこ)に願ったほうがいいなんて冗談が飛び交っている。
なぜなら復縁後、私は都心で一番がめつい本妻として有名になったからだ。
松浦純一(まつうら じゅんいち)が愛人をどれだけ可愛がろうと、もうどうでもよくなった。
息子の松浦俊介(まつうら しゅんすけ)が愛人のことを「ママ」と呼んでも、私は何も言わなかった。
この家には、ただ一つだけ新しいルールができた。
愛人の栗原茜(くりはら あかね)の名前を一度言うごとに、私に200万円払うこと。
おかげで、2週間もしないうちに6億円も貯まった。
結婚記念日に、純一はまた俊介に茜の話をした。
二人の顔がこわばる中、私はただ、慣れた手つきで手を差し出した。
「200万円。口座に振り込んどいて」
とうとう俊介が我慢できなくなり、私を軽蔑するような目で見て言った。
「ママ、本当に俗っぽい。頭の中はお金ばっかりなの?そんな些細なことで金を要求するなんて、茜さんには大違いだよ」
私は言い返さず、ただ俊介にも手を差し出した。
「200万円。先に名前を出したのはあなただから、あなたも払って」