映像の裏側に興味を持ってから見てきたことを踏まえて語ると、
丸呑みシーンは徹底した準備と分業で成り立っていると感じる。
まずは絵コンテとプリビズ(簡易CGや絵での事前検証)で「どの瞬間を見せるか」「どこを見せないか」を決める。安全面の設計図とも言えて、俳優が本当に危険な状況に置かれないようカット割りやカメラワークが緻密に組まれる。撮影当日は口腔保護具や特殊なプロテーゼで俳優の身体を守り、必要ならば替えのスタントやダミーが使われる。
実際の表現は実物大のプロップ(シリコンやラテックス製の口や内臓モデル)、アニマトロニクス、そしてCGの組み合わせで作られることが多い。撮影では俳優のところに柔らかいチューブやふくらませる袋を当て、カメラは極端なクローズアップやカットイン・カットアウトを多用して観客の想像力を刺激する。音響と編集が加わると、リアルさはさらに高まる。
例えば『パンズ・ラビリンス』のような作品を参考にすると、重厚なメイクと巧みな編集が不快さを生む一方で俳優の安全は保たれている。撮影後のCG補完で違和感を消し、スチュワードや医療担当が常に待機している現場で仕事が進むのが普通だと感じる。そういう舞台裏を見ると、表向きの恐怖以上にスタッフの緻密な仕事に感動する。