あるインタビューの一節が、物語を読み返す目を変えた。作家が自身の「
エゴ」を語った場面では、創作の動機が単なるプロットの都合ではなく、深い倫理的問いとして噴き出しているのが伝わってきた。
具体的には『風の谷のナウシカ』を念頭に、作者の発言は人間の
利己心が環境破壊や戦争へと直結するというテーマをはっきりと結びつけていた。作中で繰り返される「支配したい欲」と「共感する力」の対立は、作者自身が自分の中の矛盾や弱さを自覚した上で描いたものに思える。
私はその告白を受けて、ナウシカや民衆の行動を単なる叙事詩的な対立としてではなく、作者の内面の葛藤の外化だと読み替えた。エゴが物語の推進力になり、同時にその克服がテーマの核心に据えられている──そんな理解が自然に腑に落ちたのだ。