売り場の陳列を眺めると、まず目に入るのは表紙の見せ方と手に取りやすさだった。自分の経験で言うと、出版社は『
ずんぐり むっくり』の第一印象をとにかく大事にしていて、サイズ感や紙質、本文のフォントに至るまで細かく調整しているのが伝わってくる。
販売面では大型書店のフェア棚を確保する一方で、地方の個人書店向けに店頭ポップや小冊子を送り、店員の推薦コメントを集めて目立たせる工夫がされていた。デジタル面では試し読みのページを公式サイトと電子書店に拡張して、SNS上で作中のワンシーンを切り取った画像と短い引用文を定期的に流し、視覚的に興味を引く戦略を取っている。
また、コラボレーション施策も豊富で、イラストレーターとの限定グッズや、特典ペーパーつきの初回限定版を制作してコレクター心を刺激していた。地方イベントや小さなトークショーを組み合わせて、コミュニティ単位での支持を固めるのも狙いだと感じる。実例を挙げると、『よつばと!』の頃から続く“店頭での直感的訴求”のやり方を踏襲しつつ、現代的なSNS施策を上乗せしている印象だ。最後に、長期的に読者を育てるためにリピート購入を促すポイントカードや続刊の告知を緻密に配置していて、買い手の満足度と継続性を両立させていると考えている。