確かにこの問題は法律的な側面と商業的な判断が入り混じる厄介な話だ。
まず法的な枠組みから整理する。タイトルそのものは短い語句だと著作権で保護されにくいが、商標として登録されていれば商標法の問題になるし、不正競争防止法の観点では「混同のおそれ」や「信用の毀損」を招くような模倣は問題視される。装丁や表紙デザインは創作的表現として著作物になり
得るため、既存カバーをそっくり真似れば著作権侵害になる可能性が高い。さらに、作者や出版社が築いたブランドの利益を利用する行為は、独占的な取引関係や販売機会を害すれば差し止めや損害賠償の対象になりうる。
次に実務的な線引きについて触れておく。出版社が元の作品に敬意を払いつつ“オマージュ”しようとする場合、デザイン要素を抽象化して独自性を出すことでリスクを下げられることが多い。たとえば色使いやフォントの雰囲気を参考にする程度なら問題になりにくいが、主要なロゴや図柄、キャッチコピーをそのまま流用すると危険だ。寄せて作っても最終的に消費者が「どちらが本物か分からない」と感じるようならアウトだし、単に「宣伝目的で似せた」としても言い逃れは難しい。パロディや評論の範囲であれば認められる余地もあるが、日本では表現の自由と権利保護のバランスが慎重に扱われるため、安易な判断は禁物だ。
自分が関わるなら最終的には権利者との話し合いか、きちんとした法的チェックを
経ることを勧める。ライセンスを取るのが最も安全で、許可が得られない場合はデザインの差別化と明確な表示で消費者誤認を防ぐ工夫をする。とはいえ、リスクを取って話題化する戦略も存在するため、ブランドへの影響や長期的な信頼を天秤にかけて判断すべきだと感じる。私は慎重な方が結局は得をすると考えている。