『昭和史』を読むと、歴史の転換点に立った人々の選択がどれほど重いものだったか実感できる。半藤は官僚や軍人の回想録を丹念に追いながら、満州事変から敗戦までの15年を『無謀な戦争への坂道』と表現する。当時の新聞記事や庶民の日記を交える手法が、空襲下の Tokyo の息遣いまで伝えてくる。
個人的に興味深かったのは、統帥権干犯問題をきっかけに政治が軍部に呑み込まれていくプロセスだ。制度の欠陥を指摘するだけでなく、『誰もが危機を認識しながら阻止できなかった』という人間心理の描写に説得力がある。終章では占領期のGHQ政策にも触れ、現代 Japan の原点を多角的に考察。史料の取扱い方がプロのジャーナリストらしく、感情論に流されないバランス感覚が光る。