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光を描くひと、家を継ぐひと~明治を生きたふたりの物語
光を描くひと、家を継ぐひと~明治を生きたふたりの物語
Author: 中岡 始

1.硝子窓の向こうに君がいた

Author: 中岡 始
last update Last Updated: 2025-08-21 11:14:34

窓の向こうに広がる庭が、夕刻の雨にしっとりと濡れていた。

枝葉に残る雫が風にゆれ、滴が静かに石畳を打つ。晩夏の空気には微かに湿った土と落ち葉の匂いが混じり、和洋折衷の木造館に沁みこんでいた。

薫は白磁のカップを手にしたまま、書きかけの手紙を睨むように見つめていた。インクの香りがまだ鼻をくすぐる。文面は途中で止まっている。もう書けることなどなかった。これ以上続ければ、言葉ではなく感情があふれてしまいそうだった。

彼はゆっくりと立ち上がり、室内の桐箪笥の前で足を止めた。鏡の中に映る自分は、パリを出たあの日と何も変わっていないように見えた。けれど、確実に違っている。肌の下に沈んだ時間。手の奥に残った熱。描き切れなかった輪郭。

桐箪笥の引き出しを開ける。黒地に銀の刺繍が施された羽織を指でなぞったあと、となりに畳まれている洋装にも目をやる。今夜の夜会。どちらを纏うべきか、心はまだ決めかねていた。

「和装で行けば、父は満足するだろう。でも…」

薫は手を止めた。

そのときふいに、扉の外から控えめなノックが響いた。

「薫様、お支度のお手伝いに参りました」

静かに開かれた扉の隙間から、若い女中が顔をのぞかせた。

「ありがとう。…少し、時間をくれますか」

「はい。お呼びつけくださいませ」

扉が静かに閉まると、室内は再びしんとした空気に包まれた。

薫は窓辺に歩み寄り、濡れた庭を見下ろした。軽井沢の夏は、東京よりいくらか涼しく、夕立のあとは特に空気が澄んでいる。石灯籠の上に溜まった雨がぽたりと落ちた。

その瞬間、ふとある面影が蘇った。

あの人も、あの石灯籠のそばで立っていた。少年だった頃、まだ声変わりもしていなかった自分の手を、あの人は軽く握って笑っていた。

「雨が降る前って、風の匂いが違うだろう。…ほら、こうやって吸ってみな」

ひとまわり以上大きな手のひらと、低く響く声。兄のようでいて、父よりも柔らかく、けれど背筋を伸ばさせられる何かがあった。

その声が、明確に自分の記憶に残っている。身体の奥に染み込んで、絵筆の動きよりもずっと先に浮かび上がることさえある。

「…早川、礼司」

名を声に出すと、胸の奥にかすかな痛みが走った。

四年ぶり。いや、正確には四年と五ヶ月。薫が日本を離れ、パリでの生活を始めてから、それだけの月日が経っていた。絵を学び、裸を描き、人と触れ、恋を知った。欲望にのまれ、また置いてきたものもある。けれど、そのどれにも、礼司の影は薄くなかった。

薫は羽織をゆっくりと取り出し、左肩にかけた。絹が肌に滑り、身体が静かに緊張する。姿見の前に立ち、襟元を整える。

目元の涼しさと、結った黒髪が映る自分の姿は、もはや子どもではなかった。けれど、礼司が今も自分を「弟のような存在」として見るのなら、それを覆す準備はしておかなければならない。

そう思うことが、なぜこんなにも呼吸を浅くさせるのか。

薫は羽織を脱ぎ、次に洋装のジャケットに手を伸ばした。やわらかく仕立てられた黒い布は、パリで仕立てたものだ。体の線を拾いすぎないよう細工が施されている。礼司の前で、自分を誇張することはしたくなかった。けれど、隠す必要もない。

今夜は、絵ではなく、生身で向き合う夜になる。

「…お呼びでしょうか、薫様」

再び控えめに開いた扉から、今度は化粧道具を持った使用人が入ってきた。

「お願いします。軽くで」

鏡台の前に座ると、女中が手慣れた様子で髪を整えていく。結い上げられるたびに、襟足に風が通る。香油のやわらかな香りが広がった。

「皆様、薫様がお戻りになるのを楽しみにしておりました」

「そうですか」

「お顔立ちも、すっかりご立派に…」

薫はその言葉に、ほんの一瞬だけ微笑んだ。けれど、女中が視線をそらしたのを見逃さなかった。おそらく彼女の中にある「男性」としての薫への戸惑い。過去の少年時代を知っている者ほど、それに混乱するのだ。

自分が「女に見える」と言われたことは一度や二度ではない。パリでもそうだった。けれど、それに怒りはなかった。ただ、それが人の「視線」の持つ意味だということを、今では理解している。

礼司は、どう見るのだろうか。

その問いは、深く沈んでいたはずの何かを掘り起こす。身体の奥に残る痛み。触れられたことのない皮膚が、まだそこにある。

「仕上がりました」

鏡の中の自分は、無表情だった。何も映していないようでいて、その奥に何層も感情が沈んでいる。まるで、描きかけの絵のようだった。

薫は立ち上がり、そっと窓辺に戻った。庭に出ると、地面に残った雨の痕が、まるで過去の記憶のように静かに光っていた。

石灯籠の前で、風がまた枝を揺らした。

「…行こう」

礼司がどんな顔をするのか、何を言うのか、想像しても意味はない。けれど、あの人の視線が、薫に何を思い出させるかは、もう知っている。

硝子窓の向こうに、薫が映るならーー礼司の心も、きっとそこに映る。

黒いジャケットの裾を払うようにして、薫は静かにその場をあとにした。

その足取りに、もう少年の影はなかった。

ただ、一人の男が、自分の過去と未来を揺らす誰かに向かって歩いていく音だけが、床に落ちていった。

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