原作者の言葉を聞いた瞬間、物語の骨格がぐっと近くに感じられた。語り口は具体的で、
アストレアの登場が単なる事件の導入ではなく、物語全体の価値観を揺さぶる起点だと強調していた。彼が繰り返し口にしたのは台詞回しや細かな表情の注文で、そこにこそ読者が感情移入する鍵があるという点だった。
場面描写に関しては、光と影の対比を重要視しており、ある一場面の照明や視点移動まで想定していたことを知って驚いた。僕が興味深かったのは、アストレアの台詞を“省略して語らせる”という意図で、余白を残すことを設計していた話だ。余白が読者の想像力を刺激する、その狙いが明確になっていた。
最後に、構成上の工夫についても触れていた。章の終盤で突然リズムが変わるのは偶然ではなく、読後感を操るための意図的な配列だという説明があった。そう聞くと、ページをめくる手が止まらなくなる瞬間の裏側が見えてくるようで、ますます愛着が湧いた。