文化背景の違いをどう乗り越えるかが翻訳の鍵ですね。『原神』の英語テキストには西洋ファンタジー的な表現が多く、日本語版では少し和風テイストが加わっています。例えば『Knight of Favonius』は『西風騎士団』と訳されていますが、この『団』という字が与える印象は英語の『Knight』とは微妙に違う。
英語版の小説を翻訳する時、気をつけているのは『リズム感』です。英語の長い複文をそのまま訳すと、日本語として読みづらくなることがあります。例えば『The wind carried the scent of Cecilias as Diluc walked through the dawn-lit vineyards』という文なら、『ディルックが夜明けのブドウ畑を歩くとき、セシリア花の香りが風に乗って』と分割した方が自然。
翻訳の現場でまず向き合うのは、原文の“声”をどう日本語に宿らせるかという点だ。僕は単に語順を入れ替える作業だとは考えていない。作家のリズム、比喩、語感、さらには意図的な曖昧さまでが作品の一部だから、それらを失わないための表現選びに時間をかける。例えば『The Great Gatsby』の繊細で揺らぐ語り口を訳すとき、直訳で美しい単語を並べても、ニックの距離感や場のきらめきは伝わらないことがある。
字面の意味だけでなく、読者の受け取り方を想像しながら調整する。語彙の強さをどう調節するか、敬語や句読点でテンポをどう作るか、固有名詞や造語をそのまま残すか和訳するかの判断も重要だ。場面や登場人物ごとにトーンが変わる作品では、それぞれの声を分けて一貫性を持たせることを心がけている。
最後に、訳出は決断の連続だ。作者が投げた曖昧さや皮肉を保つのか、読者に明瞭に伝えるのか。僕は原文の持つ重心を崩さない選択を優先するが、ときには注釈や訳者あとがきで補助することもある。それでこそ原作の味わいが日本語で生き返ると信じている。
『原神』の公式ウェブサイトには、キャラクターのバックストーリーやゲーム内の世界観を深掘りした短編小説が公開されています。特に『原神』の開発元であるmiHoYoが運営する『HoYoLAB』コミュニティでは、ファンが翻訳した非公式コンテンツも共有されていることがあります。
気になるのは、『原神』の二次創作小説を扱うプラットフォームです。例えば『Archive of Our Own』(AO3)や『Wattpad』には、英語圏のファンが書いた同人小説が大量にあります。日本語版を探すなら『小説家になろう』や『カクヨム』で『原神』タグをチェックしてみると、無料で読める作品が見つかるかもしれません。ただし、著作権には注意が必要です。