店の説明を聞くと、ラベルやスタッフの説明だけでかなり違いが把握できることが多い。地元の居酒屋が『
一ノ蔵』の辛口と甘口をどう説明するかは、まず「味の輪郭」をどう伝えるかにかかっている。辛口は後味の切れや酸味の存在、アルコール感の引き締まりに触れることが多く、甘口は旨味や丸み、舌に残る甘さの程度を言葉で補足することが多い。実際には「辛口=砂糖が少ない」「甘口=糖分が多い」という単純な図式ではなく、酸味やタンニン的な渋み、香りの強さが総合的に辛さや甘さの印象を作り出していると説明されることが多い。
居酒屋での説明は、製造スペック(精米歩合や日本酒度)をざっくり伝えるパターンと、飲んだときの印象を中心に伝えるパターンの二通りに分かれる気がする。私は後者のほうが分かりやすいと感じることが多く、「キレがあってさっぱり」「口当たりが柔らかくて余韻に甘みが残る」という具体的な表現で理解が深まるからだ。例えば本醸造系の辛口を勧めるときは刺身や揚げ物と合うといったペアリングで示してくれる店もある。
結局、居酒屋がどれだけ丁寧に説明してくれるかは店の経験値次第だけれど、自分の好みを伝えればスタッフが辛口寄り・甘口寄りどちらかを具体的に教えてくれるはずだ。気軽に一杯ずつ味見させてもらえれば、違いは自分の舌で確認できるよ。