一ノ蔵の古酒を長持ちさせたいなら、温度の安定性を最優先に考えてください。瓶熟成された酒は温度変化にとても弱く、短期間の上昇・下降を繰り返すだけで風味が劣化します。理想は冷蔵庫の下段や酒専用の貯蔵スペースで、概ね5〜10℃の範囲に保つこと。開封前でも暗所での保管が必須で、直射日光や蛍光灯の光は色や香りに悪影響を与えます。
ラベルに'生'や'生貯蔵'とある場合は特に要冷蔵ですし、熱処理がされている古酒は比較的安定しますが、それでも高温は厳禁です。湿度はラベルの劣化防止という観点で60〜70%程度が望ましく、栓は常にしっかり閉めておきます。瓶は立てて保管するのが基本で、栓部分の乾燥や空気接触を最小化できます。
開栓後は酸化が進むため、できれば1〜2週間以内に飲み切るのが安全圏だと感じます。長めに残す場合は、出来る限り空気を抜いて小瓶に詰め替える、あるいは窒素・アルゴン系の置換ガスを使うと効果的です。ワイン用の真空ポンプは一時的に酸素を減らせますが、完全な解決にはならないので過信は禁物。結局は、冷暗所・安定温度・密閉が三本柱だと心得ています。