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祖母の茶箪笥から出てきた戦時中の手紙を見た時、『後生大事』と『大切』の違いを実感しました。前者は単に保存状態を指すのに対し、後者は扱い方全体を含むんです。
『鋼の錬金術師』のアルが体を失っても兄弟の絆を守り続ける描写は『大切にする』の極致でしょう。対照的に、『ジョジョ』のディオが石仮面を『後生大事』に保管する様子には目的重視の冷たさが感じられます。
言葉の背景にある感情の厚み――これが両者の核心的な違いだと思います。モノに対する姿勢が、その人の本質を映し出す鏡になることがありますよね。
ゲームのアイテム管理で考えると分かりやすいかもしれません。『後生大事』はレアアイテムを『使わずにストック』するプレイスタイル。『ゼルダの伝説』で爆弾矢を最後まで温めるあの感覚です。
『大切にする』は装備品の耐久度を気にしながらも『積極的に使用』する態度。『モンハン』で愛用の武器を手入れする習慣に近いですね。
この比較から浮かび上がるのは、対象との関わり方の積極性の差。前者が博物館的、後者が工房的なアプローチと言えるでしょう。
語源から掘り下げると面白い発見があります。『後生大事』は仏教用語で『来世で役立つように』という意味が転じ、『滅多に使わず取っておく』という現在の用法に。『ヴィンランド・サガ』のトルフィンが父親の剣をしまい込むエピソードがこれに近いかもしれません。
『大切』は『切』の字が示す通り、『切り分けて特別扱いする』という能動性を含みます。『君の名は。』の三葉が髪紐を扱う仕草なんかは典型的な例でしょう。
保存行為における心理的な距離感――これが両者の決定的な違いだと言えそうです。前者が箱に入れる行為なら、後者は毎日磨く行為のようなイメージです。
言葉のニュアンスを考えてみると、『後生大事』にはどこか滑稽さや執着が感じられますね。古い漫画の収集家を思い浮かべると、部屋中に溢れたフィギュア箱を『後生大事に保管』している描写がよくあります。
一方で『大切にする』は純粋な愛情や敬意を含み、『スラムダンク』の桜木が安西先生からもらった靴を磨くシーンが典型的です。前者が『物』への執着に使われるのに対し、後者は『人』や『思い出』にも使える広がりがあります。
面白いことに、『後生大事』は時として批判的に使われますが、コレクター文化においてはむしろ賞賛の対象になることも。この微妙な温度差が日本語の深みですね。