剣と栄光、そして裏切りが交差する場面を思い浮かべると、ランスロットの姿が強烈に浮かび上がることが多い。中世フランスの物語では彼が最初期に魅力的に描かれていて、とりわけ重要なのがクリスティアン・ド・トロワの作品だ。クリスティアンによる'Lancelot, the Knight of the Cart'(『車の騎士』として知られる断片的な物語)は、ランスロットを恋と名誉の間で葛藤する人物として世に知らしめた代表作の一つだ。
それからほどなくして集大成的にまとめられたのが大叙事詩的な系譜、いわゆる'Lancelot-Grail'(俗に言うヴァルゲート・サイクル)で、ここではランスロットの出自やガラハッドとの関係、聖杯探索との絡みが大幅に膨らまされる。物語全体の中でランスロットは一方で最高の騎士、他方で致命的な弱点を抱える悲劇的英雄として描かれる。
英語圏で最も影響力のある形でまとめられたのがトマス・マロリーの'Le Morte d'Arthur'だ。中世フランス系の素材を編纂して後世に残したこの作品で、ランスロットは物語の中心的存在の一人となり、グィネヴィアとの恋や円卓の崩壊を通じて彼の人間性がより深く示される。そうした重層的な扱いのおかげで、ランスロットは多くの時代で語り継がれてきたのだと感じている。