憲兵の歴史を掘り下げるなら、まず手に取りたいのが『日本の憲兵制度―その誕生から
終焉まで』です。この本は明治維新から第二次世界大戦までの変遷を、当時の社会背景と絡めながら丁寧に解説しています。
特に興味深いのは、憲兵が警察と軍隊の両方の機能を担っていた点。著者は豊富な一次資料を基に、制度設計の意図や現場の実情を浮き彫りにします。例えば日露戦争時の
諜報活動や、占領地での治安維持の実態など、教科書では触れられない具体例が満載です。
装丁は堅苦しい歴史書というより、随所に挿入された当時の写真や組織図が理解を助けてくれます。最後の章で扱うGHQによる解体過程は、現代の自衛隊警察との比較考察も刺激的でした。