次に色彩と照明で情緒のトーンを整える手法がある。極端な赤や過度の彩度を避けて色調を落ち着かせると、感情の扇動を抑えつつ状況の重さを伝えられる。音の使い方では環境音や間を活かして想像力に委ねるやり方が有効だと考えている。編集では断片的なカットを混ぜることで混乱や余韻を表現し得るし、逆に長回しで尊厳や重みを保つこともできる。実例として『Children of Men』のワンカットの使い方は、暴力とその余波を描写する際に観客の倫理的判断を刺激する見事な手本になっている。これらの手法を組み合わせて、無用なセンセーショナリズムを避けることが最終的に大切だと思う。
また、エキストラや出演者への配慮も重視している。暴力的な場面や死体の演出に参加する人たちが心理的に負担を抱えないように事前説明や休息、必要なら専門家のケアを用意するべきだ。観客に対しても適切な警告やコンテキストの提供を行い、被害者の名誉を守るアプローチを取る。アニメーションや象徴的な表現を選ぶことで直接的描写を避けつつ、テーマの重さを伝えることも可能で、『Grave of the Fireflies』のように感情を丁寧に扱う作品は、残酷さを直接的に描かずとも深い悲しみを伝えてくれると感じている。